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▼Chiquititaさん:
こんばんわ。キリンの首です。
私もNLD(非言語性学習障害)には関心があるのですが、この概念は、DSM等の診断基準で公認されていない学術研究用語のせいか、文献が少ないようには思います。そのせいか、この掲示板でも、NLDに言及する人はあまりいないように感じます。
『アスペルガー症候群と非言語性学習障害』(キャスリン・スチュワート著 明石書店 2004)を参照すると、NLDは全米人口の約1%(270万人)おり、LDの子供の10%はNLDであり、またこの障害は、男女差がないことが指摘されています。
以下のような特徴が挙げられています(同書 p27)。
NLDの主な機能不全としては、
・情報処理と組織化・系統化スキルの障害
・視覚ー空間機能および感覚機能が弱い
・対人関係の重大な障害
NLDの子供の優れた点としては、
・きわだった(年齢水準を上回る)言語表出能力
・豊かな語彙
・聞いた情報から学び、記憶する能力に優れている
NLDの器質原因としては、「前頭葉と白質(右脳と左脳の間、およびそれらと前頭葉の間の神経のつながり)の機能不全」が推測されています。NLDの研究者には、「情報処理の障害」(IPD)という用語を使用する方もいるようです。
前掲書 p28〜30には、スチュワート博士他作成の、NLDの症状リストが掲載されています。1.社会的/情緒上の指標 2.言語使用 3.認知または学習上の指標4.知覚ー運動上の指標 の四つの側面にわたって、障害特徴の項目が並べられています。
いくつか大雑把に拾い出してみると、
1.については、
他人の表情・行動が示唆することを読む能力が劣る。
ことばを文字通りに解釈する。社交的なニュアンスを見落とす。
規則を白黒で解釈する。強迫性障害。突然の感情の爆発。身だしなみが悪かった り不潔。自分が人にどう見えるかについての感性をもってないように見える。
睡眠障害など。
2.について、
言語発達の遅れはない。おしゃべりである。単調な喋り方。韻律の奇妙さ。
豊かな語彙。言語の表出は優れているのに、実践的言語使用に問題がある。
関心あるトピックには専門知識が発達している。
3.について、
「ふり」をすることができない。物事を秩序立てて行う能力に欠ける。
時計を読むのが困難。右左の区別・方向の混乱。丸暗記に優れている。
しばしば独り言をいうなど。
4.について、
触覚・聴覚の過敏性。迷子になりやすい。物にぶつかりやすい。
書字障害。粗大運動・微細運動の困難。体力不足。すぐに疲れるなど。
詳しくは同書に当たって欲しいのですが、これらの特徴は、アスペルガー障害等の軽度自閉症者の特徴ともよく似ています。
アスペルガー、高機能自閉症、NLDは、おそらくアメリカにおいてでさえも、専門家の職業的な勘に頼って判別されているのが現状なのではないのか(?)とも、私には思われます。今後の研究が待たれる処です。
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