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管理人の秋桜です。
ちょっと気になった表現がありましたので、医療関係の現場で働いた経験のある人間の立場から説明させてください。
>>高校1年生のASと診断された子供のいる親です。
>>私の家庭は経済的にも裕福ではなく、子供の療育費(カウンセリングなど1回5千円)の支払いも大変です。
>こんにちは!
>一回に五千円は高いですね。中二の息子は、いわゆる児童精神科への
>通院はしていませんが、去年、頻尿になってしまったので、近くの
>総合病院の小児科で体の検査をしました。結果、体に異常はなかった
>ので、その小児科の心理相談に回してもらい、通っています。
>会計の時、「きっと何千円もかかるわね・・・。」と思い、用意して
>いったのですが、「210円です。」とのこと。
>気分を落ち着かせる薬を出してもらっていますが、合わせても何百円
>です。
これはきっとカウンセリングを自費扱いにしているか(つまり健康保険を適応していない)、心理相談を医師の診察扱いにしたかで違ってきます。
臨床心理士やカウンセラーは国家資格ではありません。そのため医療点数がつきません。カウンセリングを受ける場合はたとえ医療機関であっても自費で行われるのが一般的です。
むしろ心理相談を医師の診察扱いにした場合、医師以外の人がそういうことをすると監査で保険診療分を返納するよう注意を受けたり、最悪の場合保険診療を停止される処分をとられることがあります。
あと私は決してこの料金は高くないと思いますが…。たとえば弁護士や会計士など専門職に相談したら30分で5,000円前後が相場です。ベテランの人だったらもっとかかることでしょう。言語聴覚士も保険扱いでなければ1時間8,000円〜1万円前後が相場です。専門職になることだってお金がかかりますし、そういう人を雇うには普通の職種の人よりお金がかかるのは当然です。行政サービスは無料とは言っても、人を雇っている以上はお金がかかっているんです(そのために税金を皆さん払っているわけですが)。ですから見えないコストなどを考えることも大事だと私は思います。
料金については例えば弁護士などは国が費用を負担する、費用を安い金利で貸し付ける制度などもありますから、医療やカウンセリングについても同様のサービスを求めていく、というやり方もあると思いますよ。
また薬価というのは新薬以外はだんだん下がるように診療報酬で定められています。これは開発にはお金はかかりますが、ある程度の月日がたつと薬は特許が切れるため、安く作ることができるからです。ですから薬の代金とカウンセリングを同等のものとして比較するのはフェアではないと私は思います。
>安い!児童精神科なんて、たいした話しない、薬も出してくれないの
>に取り過ぎでは?と、考えてしまいました。
医師が診察時間をかけないことに不満なようですが、それは保険点数による縛りも大きな影響があります。特別な加算がつくような病院ではない限り、医師の診察料というのは何分かけようが、どんな医師であろうが同じ料金です(診療科や病院の規模によって異なりますが)。ですから病院の経営者側にしたらどんどん人を診察して儲けてくれ、というのが実情です。
日本の医療制度というのは人が関わるサービスについては安く抑えられてきた経緯があります。でも医療機関が支払う上で一番かかっているのは人件費です。人を雇う、そしてサービスを提供できるだけの検査器具などを用意する(よくこの掲示板でも話題になっているWISC-IIIは1セットで10万円以上します)にはそれなりの経費がかかりますし、設備投資も欠かせません。
そして発達障害に関してはどんなに薬を用いてもやはりそれと合せて行動やコミュニケーションに関わるアプローチが不可欠だと様々な文献や症例報告で言われています。
逆に言ってしまえば日本の医療は人を大切にしてこなかったサービスであり、そのため安価に抑えられていたものなのです。その辺りの事情をよく理解していただけるとまた見方が違ってくるのではないでしょうか。
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