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これまでの皆さんの意見を焼き直すつもりは無いので、個人的に
感じた事を記しておきます。
まずは、マイルスさんの貴重なご報告に感謝しなくてはいけない
ですね。アメリカの方がASやADHDに対する診断は進んでいると
思っていましたが、一般的にはまだまだ誤解や偏見が多い事を
感じました。10〜20年程度では、そうそう一般認識は変わらない
のかも知れません。
「障害」は病気ではない。だから「治る」という事もない。
一生付きあって生きてゆかねばならない。
アスペルガー症候群と精神障害の違いは、たとえるなら「sex」と
「gender」の違いなのですよね。どちらも英語で「性」を意味する
単語ですが、前者は生まれながらのものを指すのに対し、後者は
生まれた後に形成される社会的性差の意味ですから。「女である」
とか「男である」というものは生まれつきなわけですが、
「スカートをはく」とか「ズボンをはく」のが自然な事になるのは
生まれた後の環境の問題な訳です。
ASやADHDは生まれつきの「機能障害」です。ただ、部位が「脳」
の一部であるため、見た目には解らないし、更に知能の遅れが
みられない場合、発見すら難しいケースが少なくありません。
けれど、機能障害はやっぱり「ある」のです。それは何処かに
軋轢となって現れる。
同時に、「脳の機能障害」であるため、欠落した能力を補うため
に別の部位が発達し「才能」として開花する事だってあります。
けれど考えてみてください。生まれながらに、両極端な二つの
未来しか許されていないとしたら…耐えられますか?
ASは、大体300人に1人は居ると言われている訳です。してみれ
ば、学校に1人、マンモス校なら学年に1人は居たっておかしく
ない計算です。これまで話題に上らなかったのは、一重に
「認識不足」が否めません。近年漸く研究が進んできた分野です
から仕方ないのでしょうけれど、同時に「異常者」と言う誤解も
非常に根深い。「障害」は「異常」ではありません。手が動か
ないとか目が見えないのと一緒の事であって、そもそも生まれ
つき「心がおかしい」などという事はあり得ないんです。
何より、「心」ってモノ(メカニズム)についても一般的に
十分な認識が足りないのだと思います。教育熱心な親御さんは
珍しくありませんが、じゃぁ彼らの中に発達心理学を勉強して
いる人がはたしてどの位居るのでしょうね…。少しでも、心の
メカニズムに興味を持ってくれれば、障害に対しても心身症に
対しても、それらに苦しんでいる人々が更に深い苦しみに陥る
ことから、少しでも防げるのですが…。
「障害」は病気ではありません。だから「治る」という事も
ありません。だから一生付きあって生きてゆかねばなりません。
けれど、この言葉を聞いた事がありませんか。
「障害は不便であって不幸ではない」 …結局はそういう事
なのです。だからこそ、周囲の理解と支援が、必要なんです。
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