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>たしか、ソルフェージュ能力というのでしょうか。先生曰く私にはソルフェージュ能力がなさ過ぎるということです。
私も大人になるまでは、音符の音高と長さを正確に再現できるだけで、いわゆるソルフェージュ力はありませんでした。音の正誤を判断する程度には「聞いて」いても、音色を「聴いて」(意識して漢字変えてます)いませんでした。
私が活路を見い出したのは、大学に入学して和声学を学んでからでした。
もともと数学の様に答えが決まっている様なものを機械的に覚えるのは得意で、楽典は大好きでしたが、和声の勉強もそんな感じでした。
和音進行の意味がわかってくると、今までただの音符の動きでしかなかったメロディーが意味のある動きだという事が理解できるようになり、あんなに苦手だった聴音が少しずつできるようになり、音の動きに基づいた表現も考えられるようになりました。
そして作曲の授業では、1つのメロディーの動きを変形・拡大・縮小しながら、料理する事を覚えたので、音の動きに対する分析力も深くなっていきました。
こんな感じで楽譜を見る目がかなり変わりました。
自分の生徒でも音符の1つ1つは分かっても、本当に1つ1つ読んで時間がかかるタイプの生徒には、そういった知的なアプローチから「まとまりを感じて読む」方法を教えるようにしています。定型の生徒にとっては、私の様に「頭で分析して読む事」を喜ぶ人は少ないのですが、それでもほとんどは譜読み力がアップします。
それと自分が上達したのも、音を聴く事に気がつくように、粘り強く指導してくれた当時の先生の力もありますが。
そういえば先生にこんな事を言われました。
「あなたって、右手のメロディーをもっと出して、と言ってもなかなかできないのに、右と左の音量を7:3位にして、って数字で具体的に言うとできたりして面白いわよねぇ」と。
当時はASの事を全然知らなかった頃でしたが、特性を上手く言い当てた言葉だなぁと思いました。
>アスペルガー症候群の当事者が楽器で才能を発揮するとしたら、それは音階が目に見える鍵盤楽器である、というようなことを以前何かで読みました。
なるほど!これは私にとってとても興味深いです。
集中力が無く興味が分散する私(若干不注意ADHD傾向もあり)は、大学でいろんな楽器をかじってみましたが、自分は鍵盤以外イマイチだなぁと思ってました。
大人になってからもカルチャー教室で「受講生がほとんどお年寄り」な楽器にまで手を出しましたが、そこでも自分の志向が意識される事がありました。
その楽器とは、大正琴と文化筝(生涯学習向けに普通より小ぶりに作られた筝)です。どちらも「琴」「筝」とついていて似た楽器に見えますが違います。
大正琴は鍵盤の様な配列のボタンがついていて、見るからに「ピアノ経験者は簡単に覚えられますよ」って雰囲気の楽器ですが、実はどちらかというとギターに近いです。私はその「弦をボタンで抑えて→抑えたタイミングに合わせて反対の手で弦をはじく」作業がしっくりきませんでした。やはり複数の作業を同時にするのは苦手な様です。
文化筝はあらかじめ弦の音高をを合わせておいた(調弦)後は、ピアノと同じで譜面に合わせて指を動かすだけなので、こちらは体に馴染みました。
他にも鍵盤経験者にとって、単音しか出ない大正琴に馴染めなかったというのもあります。
>音符ひとつひとつが瞬時に読めれば演奏していても間違わない、と先生は言うのですが、私にはどうしてもそうとは思えなくて…
単音楽器の先生だからそう言うのでしょうけど、鍵盤楽器ばかりやっている私からすると、「1つ1つ瞬時に読めたって間に合わない。まとめて動きで読めなければ」と思ってしまいます。上記した様な理由もあります。
他に、「1つ1つ読むのは絶対音読み」「前後の音の動きで読むのが模様読み」というのはご存知ですか?習い始めは絶対音読みができるように、音符が増えてくる頃には模様読みも合わせて出来るようになると良いと思います。視覚優位の場合でしたら、模様読みも楽しいと思います。
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