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2年前にアスペルガー症候群と診断された社会人の笛と申します。
▼劉邦さん:
>こうしてTVに取り上げられるようになったのはいいことですよね。連続して土曜日にも関連した話題の番組がありました。理解への大きな進歩です。日々切磋琢磨している方達の努力が実をむすんだのでしょう。ですが放送に出演されていた方には少し疑問を感じました。バターと蜂蜜をぬった食パンが出てくる場面で朝からペプシコーラ飲んでました。体に悪すぎます。耳にピアスもされていました。それで体の不調に苦しんでいると言われても説得力がないと思います。漫画が羅列されるだけの部屋からは勤勉な姿はありませんでした。定型の方達が見たら余計に偏見や無理解が助長されてしまいそうでした。皆さんはそのシーンをどう感じました?
劉邦さんは、この障害について社会に理解を求める場合は、positiveな部分だけを見てほしいとお考えでしょうか。
番組に出演されていた女性の朝食のシーンを番組に取り込んだのは、当事者の「こだわり」がどのようなものかを具体的に紹介するために必要だったと私は考えます。
「こだわり」という表現は「お気に入り」「(好きなので)やめられないもの(事)」というニュアンスも含んでしまうように感じるため、私はあえて「とらわれ」という表現を使います。
子供の頃ならば別ですが、大人になり、しかも家族と同居して一緒に生活している場合、あの飲み物を毎朝飲むのはあまり健康的ではないということは、判断がつくと思います。(自分の経験からしても、家族もはじめのうちは注意したことと推察されます。)
それでもやめられないのが「とらわれ」です。嗜好ではないため自分ではやめることが出来ないし、無理矢理やめさせる事により、不安定な精神状態を招くこともあります。
(他人に迷惑をかける類のものであれば、社会で生きていくためにはどうしてもやめさせなければならないものもありますが。)
耳にピアスをしている事は、私は全く疑問に思いませんでした。
身体の不調については私にもありますから疑問に思いませんでした。アスペルガー症候群の当事者は鬱病や低血糖症になりやすい(生来そのような素養を持っている)と考える研究者もいるようです。
彼女の場合は、体温調節がうまく出来ないなどの症状が見られましたので、自律神経に変調があるようです。
とらわれに起因する偏食がこれら体調不良の一因である可能性があるとしても、当事者がとらわれをコントロールするのは非常に困難であることから、これもアスペルガー症候群はこのような症状をみせることがある、ということで紹介するのは有意義と考えます。
彼女の部屋を撮影したのも、素のままの当事者を等身大で紹介しようとする番組の試みと捉えました。
(あまりに部屋が整然としていて私は驚きました。)
ところで、アスペルガー症候群は勤勉なのですか?私は物事によって勤勉すぎる面と怠慢すぎる面があります。)
私は世間一般に対してアスペルガー症候群を理解してほしいとは、積極的には考えません。
世間一般の人々がアスペルガー症候群を理解することを奨励する強いモチベーションが考えつかないからです。
世間一般の人々はアスペルガー症候群について無理解であっても何も困らないだろうと推察するからです。(困るのは当事者とそのご家族や周辺の方々だけ。)
逆に言うと、アスペルガー症候群を理解するとどのような利があるか?を世間に提示する必要があると考えるわけですが、当事者の私には良い案が浮かびませんでした。
そのような理由で私は職場では理解してもらおうという努力をやめた(理解しようとしてくれる人の手を拒むという事ではありません、そのような方々には真摯に説明を試みます)のですが、思い切った事で今までになく楽になれました。
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