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▼Tomyさん:
管理人の秋桜です。言語聴覚士として病院や行政機関で発達障害の子どもたちの支援をしてきました。子どもの頃は自閉症やアスペルガーの特性が強かったのですが、療育などの支援を受けて育ち、今は日常生活や仕事は問題なく暮らせています。
ちょっと誤解されていることがあるようなので、説明などをしたいと思います。
>>(ASであっても何ら才能を持たない子供のほうが圧倒的に多いと思いますが。)
>
> そうなんですか...。
> AS含む発達障害は、コミュニケーションや言語能力を司る左脳になんらかの損傷があることが原因だと言われていますよね。
確かに言語については右利きの人は9割近くの人が左脳に言語野があると言われていますが、言語野と一口に言っても言語をつかさどる場所というのは何か所かあります。そしてそこをつなげているネットワークに損傷が起きても障害がおこることがあります。
しかし左利きの人だと左脳に言語野がある人の割合はぐっと減って6割前後になります。残りの人は右脳、もしくは両方の脳に言語野があります。ここからも分かるように一概に言えないのが脳の機能です。
コミュニケーションというのは脳梁という左右の脳をつないでいる場所も大きな役割を果たしていると言われています。そして空間認知に関しては右脳の果たす役割が大きくかかわってきます。コミュニケーションでは場の空気を読むことなどが必要であり、右脳からの情報も統合できることがポイントになってきます。
最近では以前ほど脳というのは局所で働いているものではなく、ネットワークの中で働いているという見方が有力になっています。
>そして発達障害者の人々の突出した能力は、損傷を受けた左脳をカバーするために右脳が発達した結果とも言われています。目の見えない人の聴覚が良くなるのと同じことですが。人間の自然の機能って、すばらしいですよね!
> ですから、多かれ少なかれ、発達障害の人々は、自然、数学や芸術分野を司る右脳が発達しているものと考えておりました。。
これについてはサヴァン症候群などでは言えるかもしれませんが、すべての発達障害者に言えることではありません。その辺りは認識を改めた方がいいと思います。
あとTomyさんが指している「才能」とは何だろう?と読んでいて私は感じました。
例えば私は絶対音感があります。高等学校で学習するような数式を見ていてその図をイメージし、「何と美しい!」と思う気持ちもよく分かります。Tomyさんのおっしゃる「才能」というのはこういった能力のことでしょうか?
でもこういう能力と音楽や数学のプロとして仕事をしていくというのはプロの人たちとお話ししていると「やっぱり違うな」と思います。
私が現在絶対音感を使うのはクライアントに声の高さの検査をする時とカラオケで歌う時くらいですし、難しい数式の解釈をするのは知能検査のデータ解析の時くらいです。どちらもこの能力だけでは使えないものです。
才能というのは1つではなく、いくつかの能力を組み合わさってできるものだと私は思います。そして一番大切なのはチャンスを見極め、それを自分でつかめる力だと私は考えています。
そもそもTomyさんが息子さんに期待するものってどんなことでしょうか?生き生きと自由に、というと耳に心地よく聞こえてきますが、具体性に乏しい印象がします。そして人間というのは具体的に考えられないことはなかなか行動に移せないものです。
そしてTomyさんご自身は生き生きと自由に生きていますか?相談でお母さん方がお子さんに望んでいることをよく聞いてみると、本当は自分がやりたいことや苦手なことを子どもに投影していることがあります。実は私の母もそういう面がありました。
子どもというのは案外親のしていることを見ています。私の場合、母がしていることは参考にもなりましたし、反面教師にもなりました。
私が大人になってけっこう親に感謝しているのは家事や持ち物・時間・お金の管理、そしてマナーについてです。最低限のことは教えてもらったし、親がやっていることを見せてくれました。社会人になって失敗しつつも色々な人に助けてもらえているのはこういう基盤があればこそだな、と実感しています。
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