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おかものはしさん、初めまして。
私は定型ですが、知的障害が重い自閉症の弟がおり、姉弟とも、いわゆるアラフォーです。
最初の書き込みを見てからとても気になっていました。
ここから先は、おかものはしさんにとって、ちょっときついことを書くかもしれません。
数年前、私はおかものはしさんの同僚の立場でした。
おかものはしさんの書き込みを見て、その同僚(Aさん)は、こんな風に考えていたのかな、と思いました。
なので、私の書き込みを読まれて、おかものはしさんの同僚の方の感じ方を考える助けになればと思い、書き込みます。
私は接客業です。Aさんは、もちろん接客業であることを理解して、希望して入社してきました。
Aさんは30歳前後。しかし、歳相応の社会人としての常識がなく、ミスが多く、
通常は2ヶ月もあれば独り立ちできるのに、半年経っても簡単な受付さえおぼつかないです。
それまで10人くらいの新人さんが来ましたが、初めてのことでした。
通常は教育担当者は1人ですが、精神的にきつくなったので、最終的に5人で担当しました。
「精神的にきつくなった」というのは、教えても教えても同じミスを繰り返す、
教えようのないことができないので教えられない、独り立ちの目処が立たない、
本人に危機感や、周りに迷惑を掛けているという自覚が感じられない、というのは、教育するほうにしてみれば、本当に精神的にきついんです。
また、自分の教育方法が悪いのかと相当自分を責めます。
私達は毎日就業後、Aさんの教育についてミーティングをしました。残業のない職場でしたが、その頃は毎日残業でした。
Aさんができないことを洗い出し、それをどうやって教えていこうかと毎日話し合いました。
しかし、Aさんができないことを洗い出してみて感じたのは、
「Aさんは教えようがないことができないので、これ以上育たないのでは」ということでした。
「教えようがないことができない」というのは、具体的に何ができないかというと、次のようなことです(一例ですが)。
・お客様が話題の方向転換を行っているのに、それに気づかない。
(結果、自分が言うと決めたことを一人でしゃべっていて、お客様怒り気味)
・お客様の言いたいことを汲み取れない。
(お客様は素人であり、表現が足りない場合があります。また、要望をストレー
トに表現しないことがあります。しかし、それはプロである私達がうまく聞き
出してあげないといけません。)
・普通はしない相槌をうつ。
(お客様も「ここでその相槌なの?」と、不信感があらわです。こちらがお客様の
話を理解していますよ、という意思表示のためにも、適切な相槌は大事だと
いうことをAさんに教わりました)
・融通がきかない。
(接客には致命的です)
私達はAさんに、私達が洗い出した「Aさんができないこと」の一覧を渡し、こう言いました。
「これができるようになって欲しい。しかし、私達が教育できないこともある。
なぜなら、これらは皆できるのが前提で入社してきたし、接客の仕事である以上できて当然のことです。
どうやったらできるようになるか自分で考えてください。」
Aさんの教育、研修中は、結局社員が一人拘束されます。その分他の人たちが忙しくなります。
そして、Aさんが独り立ちする目処が立たないということは、他の社員達の負担が、いつまで経っても軽くはならないということです。
しかしAさんは、その教育を受けたがります。この間やった教育をもう一度受けたいと言います。
こう書くと「Aさんはやる気のある熱心な人」に見えるのでしょう。
しかしそれが何ヶ月も続くと、私達は「教育だけ受けて給料もらって恥ずかしくないのか。同じ給料でこちらはお客さんに苦労するのに、やってられない。こんなに迷惑掛けるほどできない仕事なら、自分なら恥ずかしいから退職する」と思いました。
上司は、Aさんに「ここは学校ではない。あなたからお金をもらって教育するならいいけど、お客様からお金をもらっている。お客さんに迷惑をかけるわけにはいかない」と言いました。
そして、Aさんの仕事を簡単な受付だけに制限しました。
実はそれまでにもAさんほどではありませんが、私達の仕事に合わない人はいました。
しかしその方々は、それを自覚してすぐに辞めていきました。
なので、簡単な仕事に制限された人はAさんが初めてでした。
Aさんは簡単な仕事だけに制限しても、毎日ミスをします。
もちろん誰だってミスはします。しかしAさんはミスが本当に多く、それが毎日であり、それに加えて独り立ちの目処もなく、Aさんに危機感が感じられないので、私達にはつらかったです。
本人に重要性を気づかせるため、ミスをする度に教育担当者が呼び出してフィードバックしました。同じことを毎日、何度も。
普段は温和でとても雰囲気のいい職場でしたが、この同僚達もAさんには怒ります。
この人たちも怒ることがあるんだ、と思いました。Aさんがいると、とても職場が重くなりました。
上司も、係長クラスだけではなく、課長クラスまで出てきて、数週間に一度はAさんと面接していました。
これはとても異例のことでした。それだけ回りは大変だと思っていました。
本人に自覚がないのでは、ということを何度か書きました。それは、Aさんは自分が「教わる立場」であるにもかかわらず、「教える立場」の人たちが接客をしていると、「それはこうじゃないですか」と口を挟んでくることがありました。「先輩の助けになれば」という謙虚な態度ではなく、とても偉そうです。
そして、それはいつも間違っていました。
ある限定された状況ではそれが正解のこともあります。しかし、お客様によって、また状況によって何が正解かは違います。
このことによって私達は、「Aさんは立場をわきまえない人、状況の違いが分からない人」だと思いました。
私達は、「Aさんに辞めてほしいわけじゃない。Aさんにあった仕事をして欲しい」と言っていました。
しかし、会社が接客主体の事業なので、社内にAさんにあった仕事はありません。
会社は個人のために仕事を作り出すことなんてしません。
結局Aさんは、上司に退職を申し出ました。
おかものはしさん、仕事を無くされて、とても今おつらいでしょう。
私もバブルがはじけていることをすっかり忘れて会社を辞めてしまい、中々就職が決まらなかったことがあります。
そのときにテレビで同じように求職中の方を見ると、涙を流しながら見ていました。
おかものはしさんにも、ご自身にあった仕事が見つかると良いなと、心から思います。
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