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▼もずくさん:
>産経新聞に、自閉症や発達障害に対しての誤解や偏見を招きかねない記事が掲載されました。(以下URL、全2ページ)
>http://sankei.jp.msn.com/life/education/100419/edc1004190041000-n1.htm
疾病やケガが『良くなる』・『快方に向かう』のには、『治癒』と『寛解(かんかい)』の二通りの方向性があります。
『治癒』というのは、例えば、インフルエンザのヴィールスと身体の免疫系が闘ってそれらが消滅して、発熱やせき・のどの痛み・倦怠感などの不快な状況から抜け出て、元気な状態へと戻っていったことを指します。皮膚に負った傷が目立つことなくきれいに治るのもまた同じで、どちらかというと、いったん損なわれた健全な身体の状況が、自然にほぼ以前の状況へと戻るというニュアンスです。
これに対し『寛解』のほうは、例えば、血圧が高いけども、薬を飲んでいることで、何とか安定させることができて、脳内出血などのより深刻な状況にならずに、元気に生活をしていたり、がんの手術を受けた後、再発していないか定期的にCTを撮っているけれども、今のところ幸いにして腫瘍の影が浮かばずに元気ですといった具合で、機能は不完全でも何とか、薬や検査・リハビリなどの外部からの作用によって、それが目立たない状況になるというニュアンスとなると思います。
では、『発達障害はどちらなのか?』といえば、それは明らかに『寛解』という状態の域を超えることが無理であるということは、かなりの人が大人になってからも、強い生きづらさを抱えていることから、火を見るよりも明らかです。 同じことは、統合失調症・うつにも当てはまります。外からの何らかの作用がなければ、上手く自分らしく振る舞うことが困難になります。
この記事の問題は、『治る』という言葉が、単に『良くなっている』以外に『症状が消失する』という治癒の意味を含んでいるものであるということです!
『寛解』というのはいささか専門的なので、平素的な表現を選ぼうとしたものだと思うのですが、意訳としては適切ではなく、『…という状況からの改善が見られました。』くらいの表現の方がしっくりいくのではと、僕も思わずにはいられません。
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