アスペルガーの館の掲示板

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[#33964] 有機リン系農薬の曝露で、注意欠陥多動性障害のリスク上昇?? ヒゲ達磨 10/5/24(月) 12:22 [未読]

[#33966] Re:有機リン系農薬 研究結果 ヒゲ達磨 10/5/24(月) 12:24 [未読]
[#33967] Re:有機リン系農薬 判ること、対策 ヒゲ達磨 10/5/24(月) 12:27 [未読]
[#33968] Re:有機リン系農薬 判ること、対策2 ヒゲ達磨 10/5/24(月) 12:28 [未読]

[#33966] Re:有機リン系農薬 研究結果
 ヒゲ達磨  - 10/5/24(月) 12:24 -

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   研究結果

今回の研究は、2000年から2004年のNational Health and Nutrition Examination Survey (NHANES)のデータを利用して平均的な曝露レベルの集団として無作為に8歳から15歳までの1,139名を抽出しました。

有機リン系剤は、体内で加水分解されジアルキルリン酸が生成します。それで、この物質が特異的な暴露指標とされています。これの尿中の濃度を調べました。その結果、ほとんど(93.8%) で検出され、米国では有機リン系剤にほとんどの子が曝されていることがわかります。

米国では、ジアルキルリン酸を2群・6種に細分して検出しています。(日本は2群、4種)
有機リン農薬とその尿中代謝物の一覧表をみると、有機リン系剤は綺麗に二分されます。これは、有機リン系剤の基本構造が、ジエチルリン酸あるいはジメチルリン酸(あるいはジエチルチオリン酸、ジメチルチオリン酸)が各種フェノール類と脱水結合したものだからです。http://www.maroon.dti.ne.jp/bandaikw/news/pestcide/USA/CDCnat_rep_human_exp.htm

ジメチルアルキルリン酸の群
ジメチルリン酸(DMP、日本でも検出対象)
ジメチルチオリン酸(DMTP、日本でも検出対象)
ジメチルジチオリン酸

ジエチルアルキルリン酸の群
ジエチルリン酸 (DEP、日本でも検出対象)
ジエチルチオリン酸 (DETP、日本でも検出対象)
ジエチルジチオリン酸

そして、今回の研究ではジアルキルリン酸の検出された全体の集団、つまり有機リン系剤に曝されている事では、ADHDのリスク上昇は検出されませんでした。細分してみるとジエチルアルキルリン酸でも、リスク上昇は検出されませんでした。ジメチルアルキルリン酸の尿中濃度が10倍になると(およそ下位25%から上位25%の差に相当)、注意欠陥多動性障害と診断されるリスクが1.55倍と高かった。その中でも、最も量の多いジメチルチオリン酸でみると、尿中濃度が検出限界未満と比べて、検出限界以上で中央値より高い上位半分では1.93倍のリスク上昇があった。

「著者らは研究の限界として、尿を1回しか採取していないため有機リンの長期曝露を反映していない可能性がある点や、有機リンの代謝産物の測定と注意欠陥多動性障害の診断を同時に行なっているため、注意欠陥多動性障害の小児が有機リン系農薬に多く曝露するような行動をしている可能性を排除できない点などを挙げている。その上で、有機リンの曝露レベルごとに将来の注意欠陥多動性障害の発生率を比較する追跡調査が今後必要だと考察している。」確かに追試や追跡調査が必要です。

[#33967] Re:有機リン系農薬 判ること、対策
 ヒゲ達磨  - 10/5/24(月) 12:27 -

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   この研究は、ADHDの症状が顕れるのにジメチルリン酸、ジメチルチオリン酸を原料とする有機リン系剤が「何らかの関係があることが示唆される」ということであり、「それが原因である」ということではありません。例えば、この有機リン系剤が引き金となって、遺伝的な多動・不注意傾向がADHDとして顕在化されるのかもしれません。「多動・不注意傾向が遺伝的に低い子の場合、子どもの問題行動の遺伝的性向が親のネガティブな養育行動を引き出しているのに対して、多動・不注意傾向が遺伝的に高い子の場合、親のネガティヴな養育行動が共有環境としての引き金となって子どもの問題行動をもたしていることが示された。」(1600組を超す乳児双生児の2005年から4年半にわたって縦断研究した首都圏ふたごプロジェクト(ToTCoP)の結果)この親のネガティヴな養育行動と同じように、この有機リン系剤が引き金となって、遺伝的な多動・不注意傾向をより顕在化させるのかもしれません。

有機リン系殺虫剤の中毒では、不安、興奮、集中力欠如、持続力欠如、多動といった中枢神経性の中毒症状が、コリンエステラーゼ阻害によっておきます。こうしたADHDに共通する行動症状に着目して、コリンエステラーゼ阻害によるコリン作動性シグナル伝達の途断によって、ADHD が発症するのではないかという方がいます。
http://ovminfo.com/archives/cat_10/_adhd/

コリン作動性シグナル伝達の途断によってADHD が発症するなら、ジアルキルリン酸の検出された全体集団やジエチルアルキルリン酸検出の部分集団でもADHDのリスク上昇が検出されなければなりません。しかしこの研究では検出されていませんから、この研究からはコリンエステラーゼ阻害が原因とみるのは難しい。

「アセチルコリンエステラーゼ(AChE)は、殺虫剤あるいは化学兵器として重要な約80種の有機リン(OP)化合物による暴露をうける可能性のある、人体に数百種存在するセリン加水分解酵素の1 つである。有機リン化合物の毒性は、最近まで、専らAChE 阻害に基づいて解釈されていた。各々のセリン加水分解酵素は特異的な機能をもつと想定され、また、それぞれの有機リン化合物には独特な阻害特性があることが提唱されている。」(平成20 年度食品安全確保総合調査報告書、172ページ)
http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=cho20090040001&fileId=001

「酵素の阻害といえば、中毒の原因としてアセチルコリンエステラーゼだけが問題にされてきた。ところが最近の米欧の研究で、それ以外に、脳機能の調整に欠かせない脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)など数種類の酵素の阻害が実験で確認され、有機リンの神経毒性の仕組みがどんどん解明されてきた」(石川哲、北里大学)
http://alter.gr.jp/Preview.aspx?id=592&cls=
ですから、ジメチルアルキルリン酸の検出される有機リン系剤の独特な阻害特性に着目する方が良いと思います。こうしたメカニズムは、いつ解明できるか、有機リン系剤の特定が何時できるかはわかりません。ですから、当面採れる事はジメチルアルキルリン酸を代謝産物とする有機リン系剤に力点を置いた暴露低減対策です。

[#33968] Re:有機リン系農薬 判ること、対策2
 ヒゲ達磨  - 10/5/24(月) 12:28 -

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   有機リン系剤に限らず、農薬暴露は3つの経路があります。一つは、残留農薬。一つは、畑などからの環境汚染による飲み水、大気。一つは、家庭用殺虫剤など家庭での使用による暴露です。日本の農薬規制では、この全体を考えて暴露量をコントロールする仕組みになっていません。その最大の理由は、残留農薬は農水省・厚労省、環境関係は環境省・厚労省、家庭用薬剤は厚労省、経済産業省と縦割り行政。一番遅れているのが、家庭での使用による暴露です。

この点の規制が米国では90年代半ばから進められています。シロアリ駆除に使われていたクロルピリホス。1984年から90年の間にアメリカでの農薬110番に苦情のもっとも多かったのはクロルピリホスの158件でした。米国では274件の健康被害訴訟が起こされています。
 96年11月、ニューヨークで開かれたアメリカ公衆衛生学会で、このクロルピリホスと人の先天異常(頭、顔、眼、生殖器など)の関係が報告され、研究者はEPA(環境保護庁)に対して使用規制と製品に先天異常の恐れがあるとの表示をすることを求めました。
 97年1月にEPAと製造メーカーのダウ・ケミカル社は規制、有機リン系殺虫剤クロルピリホスのノミ殺虫剤やペット用薬剤、塗料添加剤などの販売自粛など10項目の自主規制に合意しています。そして2000年6月8日にEPA米国環境保護庁は家屋内や庭での使用を法的に禁止。同年12月に家庭の芝生と庭の有害生物駆除のために、最も広く使用される有機リン系剤ダイアジノンの家庭使用の禁止と、農業用途の制限をEPAと製造メーカーが合意。2005年1月に家屋庭用ダイアジノン販売が法的禁止。などなど
こうした規制の進展強化で、米国では暴露の主な経路が残留農薬ルートです。日本はまだそうなっていません。


有機リン系薬剤は家庭では、衛生害虫・不快害虫への殺虫剤と庭などでの園芸用の殺虫剤で使用されてます。
http://www.safe.nite.go.jp/shiryo/product/biocide/biocide2.html
(有機リン系難燃剤・可塑剤として主に繊維製品やプラスチック製品に使用されている。その揮発により室内空気中で 10 種類の有機リン系難燃剤・可塑剤が検出されたという報告もある。)

園芸用の殺虫剤は、先に一覧表を見て有効成分から選ぶことで減らせると思います。

蚊やハエ、ダニなどへの殺虫剤では、要注意と思うのはダニ防除です。

JIS(日本工業規格)では、畳床については「ダニ、その他の害虫が発生しないように、適切な防虫処理をしなけらばならない。」として、防虫処理が義務づけられています。ワラを一切使わない、発泡ポリスチレンまたはインシュレーションボード(チップ化した木材を蒸煮解繊し、耐水剤を添加した後、抄造し、連続式乾燥装置で乾燥させたもの)のみを畳床に使った畳以外は、防虫処理が義務づけられています。

フェンチオン、フェニトロチオン(スミチオン)など有機リン系剤を染み込ませた防虫加工紙で包み込むやり方が一般的です。フェンチオン、フェニトロチオンの尿中代謝物はジメチルリン酸とジメチルチオリン酸。

東京都が調査では、防虫処理した新品の畳を入れた部屋の空気には、最高で1m3当たり7マイクログラムの殺虫剤成分が漂っていました。(室温30℃、畳の上10cmで採取。なお、1マイクログラム=100万分の1グラム。)農薬空中散布の安全基準は2マイクログラムですから、その3.5倍。防虫加工紙は、半年で発散が半減する仕様だそうですから、約1年で農薬空中散布程度の濃度になります。

やがて、発散しきってダニ防除効果がなくなります。高気密の家屋は、冬の結露でわかるように室内に湿気をためやすい。人間が暮らすから、餌には困りません。湿気さえあれば、繁殖します。そうなると、掃除などから取り掛かり、最終的には勧められるているのは
「畳を上げて、フェニトロチオンなどの有機リン系の油剤を噴霧します。」
http://www.city.toyota.aichi.jp/division/af00/af07/1193555_7118.html

もう一つは、ハエ・蚊・ゴキブリを殺虫!というバポナやパナプレートです。この有効成分はジクロルボス(DDVP)、尿中代謝物はジメチルリン酸。
このジクロルボスがプラスチック板から蒸散して6〜7畳の広さに1個吊すだけで、2〜3ヶ月の長期間にわたって発散して効き目を顕します。東京都が実施した実験では、6畳程度の部屋につり下げて、21日間の濃度を測定。その結果、一日そこにいたとして呼吸による摂取量が、世界保健機関(WHO)の示す1日許容量の、子供はすべての日で十倍以上(28―10倍)大人も13―3・4倍です。

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