アスペルガーの館の掲示板

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[#21611] It is not a disease, it is a way of life Ryu 07/8/22(水) 1:00 [未読]
[#21632] What I want to know is" a way of l... kayryo2 07/8/22(水) 23:16 [未読]
[#21655] Re:What I want to know is" a way o... Ryu 07/8/23(木) 23:16 [未読]
[#21671] Re:What I want to know is" a way o... らっこらっこ 07/8/24(金) 18:01 [未読]
[#21701] グッドウィル・ハンティング Ryu 07/8/27(月) 11:49 [未読]
[#21703] Re:グッドウィル・ハンティング penpen 07/8/27(月) 13:21 [未読]
[#21714] Re:グッドウィル・ハンティング Ryu 07/8/27(月) 22:42 [未読]
[#21720] Re:グッドウィル・ハンティング(訂正して... penpen 07/8/28(火) 10:10 [未読]
[#21728] Re:グッドウィル・ハンティング Ryu 07/8/28(火) 22:46 [未読]
[#21737] Re:グッドウィル・ハンティング penpen 07/8/29(水) 10:01 [未読]
[#21748] Re:グッドウィル・ハンティング Ryu 07/8/29(水) 23:10 [未読]
[#21750] Ryuさんへ 秋桜(管理人) 07/8/29(水) 23:58 [未読]
[#21752] Re:Ryuさんへ(correction) Ryu 07/8/30(木) 2:09 [未読]
[#21780] 【質問】秋桜さん,Ryuさんへ POLINECIA 07/9/1(土) 0:42 [未読]
[#21813] Re:実は私も ジョン 07/9/1(土) 23:58 [未読]
[#21816] POLINECIAさんへ Ryu 07/9/2(日) 2:31 [未読]
[#21824] Re:POLINECIAさんへ(訂正) POLINECIA 07/9/2(日) 18:01 [未読]
[#21855] Re:POLINECIAさんへ Ryu 07/9/3(月) 21:38 [未読]
[#21826] 質問について 秋桜(管理人) 07/9/2(日) 18:51 [未読]
[#21827] Re:質問について POLINECIA 07/9/2(日) 20:38 [未読]
[#21758] 秋桜さんへ penpen 07/8/30(木) 10:22 [未読]
[#21757] Ryuさんへ penpen 07/8/30(木) 10:16 [未読]
[#21768] penpenさんへ Ryu 07/8/30(木) 21:19 [未読]
[#21770] Re:penpenさんへ penpen 07/8/30(木) 22:21 [未読]
[#21713] Re:グッドウィル・ハンティング らっこらっこ 07/8/27(月) 22:08 [未読]
[#21749] Re:グッドウィル・ハンティング らっこらっこ 07/8/29(水) 23:33 [未読]
[#21769] Re:グッドウィル・ハンティング Ryu 07/8/30(木) 21:22 [未読]
[#21771] Re:グッドウィル・ハンティング らっこらっこ 07/8/30(木) 22:54 [未読]

[#21611] It is not a disease, it is a way of life
 Ryu メールホームページ  - 07/8/22(水) 1:00 -

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   この掲示板は久しぶりですが、投稿させてもらいます。
ASの診断を受け、ディスレクシアも持っているRyuです。発達障害関係の研究をしています。僕の自閉症原因論"The Analog-Dominance-Brain Theory"もサマリーをブログへ掲載していますので、よろしければご覧ください。

http://submariner-spirit.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/the_analog_domi.html

先日、自閉症関係のミーティングに参加するため渡米したのですが、その時友人から面白い記事を教えてもらったので紹介します。
英語の読める方は読んでみてください。読めない方でも登場人物のコメントからある程度雰囲気はつかめるのではと思います。

'It is not a disease, it is a way of life'
Tuesday August 7, 2007
The Guardian

http://society.guardian.co.uk/health/story/0,,2143123,00.html
(カンマが二つだとリンクが繋がらないようなので↑、コピー&ペーストして見てみてください。)

直訳すると「それは病気ではない、一つの生き方だ」という見出しです。

この記事の中でGareth Nelsonというイギリス人のアスペルガー症候群を持った青年がアスペルガー症候群についてこう発言しています。

"It's the same as black people, who seem to be more at risk of sickle cell disease than white people but you're not going to attempt to cure 'blackness' to cure sickle cell."

「それは黒人が白人よりも鎌形赤血球症を患うリスクが高いということと同じだよ、でもだからってあなたはその鎌形赤血球症を治すために”黒人であること”を治そうとはしないでしょ。」

確かにアスペルガーであるということは現代社会で鬱や人格障害などの二次的精神疾患に罹りやすい傾向はあるかもしれませんが、アスペルガーであることや自閉症であることそのものは治せるものではないですし治すべきものでもないです。記事中でも人間のバリエーションの一つであると言っていますが僕も同感です。

当事者の皆さんは「自分がアスペルガーだから・・・」という風に考えてしまう方も多いようですが、僕はGareth Nelsonさんのようにアスペルガーであること自体をネガティブにとらえる必要は全く無いと思います。

またAmanda Baggsという26歳の自閉症を持つアメリカ人女性の映像がYouTubeで話題になっていますが、その方も記事中で紹介されています。

http://www.youtube.com/watch?v=JnylM1hI2jc

特徴としてはカナータイプのように見えますが、彼女は言葉で喋れないぶんコンピュータ・ボイス・シンセサイザーを使って明確に意思を表現しています。映像の中で表現される動きについて通訳をしてくれています。

つまり記事中でも述べられていうように

"not being able to speak is not the same as not having anything to say".
「喋れないということは喋ることがないということではない」

=カナータイプや低機能自閉症と呼ばれるような人も、考えがないわけではないのです。

IQテストなどで高機能か低機能かを判別することが主流になりつつあるようですが、IQテストだけでは知能など測れないといういい例だと思います。それにIQテストにしたって元々は人間が開発したものですから、実際の測定結果と備えている知能との相関関係がはたして適当なのかということも疑ってみる必要があるでしょう。

他にも色々と興味深いことが書いてありますが、全部を訳すことは出来ませんので面白そうな部分だけ取り上げてみました。日本での発達障害の捉えられ方(特に教育現場や保護者など)とはかなり違うように思います。
下手な翻訳で申し訳ありませんが、ご参考まで。

Ryu

[#21632] What I want to know is" a way of life"!
 kayryo2  - 07/8/22(水) 23:16 -

引用なし
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   Ryuさん
最近 息子のASのことがわかった母です。
面白い投稿だなあと思って読ませていただきました。

そういえば、息子のASがわかる前は、集団での困り感は
ありましたが、「面白い子だなあ」
と自分の子を 超 個性的だと思っていました。

名前がついてからは、いい意味でわかってあげられたことと、
名前がわかったために良いようにとらえられなくなったことが
あります。

それをあなたの文章で思い起こすことができました。
ありがとうございました。

超・個性を、けすことなく 人にできるだけ迷惑かけないように。

そんな成長を助けていけたらいいな、と思いました。

>IQテストなどで高機能か低機能かを判別することが主流になりつつあるようですが、IQテストだけでは知能など測れないといういい例だと思います。それにIQテストにしたって元々は人間が開発したものですから、実際の測定結果と備えている知能との相関関係がはたして適当なのかということも疑ってみる必要があるでしょう。
>
>他にも色々と興味深いことが書いてありますが、全部を訳すことは出来ませんので面白そうな部分だけ取り上げてみました。日本での発達障害の捉えられ方(特に教育現場や保護者など)とはかなり違うように思います。
>下手な翻訳で申し訳ありませんが、ご参考まで。
>
>Ryu

[#21655] Re:What I want to know is" a way of life"!
 Ryu メールホームページ  - 07/8/23(木) 23:16 -

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   ▼kayryo2さん:

はじめまして。感想を聞かせてくださってありがとうございます。

>超・個性を、けすことなく 人にできるだけ迷惑かけないように。
>
>そんな成長を助けていけたらいいな、と思いました。

まさにその通りだと思います。紹介した記事中でもサイモン・バロン・コーエンというケンブリッジ大学自閉症研究センターの所長が同じようなコメントをしています。

"We need to find ways of alleviating the disability while respecting and valuing the difference."

「私たちは”違い”を評価し尊重しながら、苦手なことを軽減する方法を見つける必要がある。」

僕は以前このサイモン・バロンコーエン教授にeメールを送って論文を見てもらったことがあります。そして次のような返事をいただきました。

"these ideas (the theory) correspond quite well to some of our ideas about males as systemizers"

「これらのアイデア(僕の理論)は男性がシステム化志向であるという我々のアイデアにかなりよく合致する。」

内容を話すと長くなるので止めますが、僕の理論を理解すればお子さんの個性的な行動の理由も一つの心理現象として分かっていただけると思います。もしお時間があったら読んでみてください。

しかし表題のWhat I want to know is "a way of life"!ですが、自分本来の生き方を知るというのは自閉圏の人に限らずどの人にとっても難しいことだと思います。ある程度がむしゃらに生きてきてふと振り返ってみると、そこに自分の歩いてきた道があった、と初めて気付くようなものではないでしょうか。自分の生き方でさえそうなのに他人である息子さんのの生き方を予め知るなんてことは難しいと思います。もし参考になるとしたら、過去の自閉圏と思われる偉人達の生き方などでしょうか。答えになっていなくて申し訳ありません。

Ryu

[#21671] Re:What I want to know is" a way of life"!
 らっこらっこ  - 07/8/24(金) 18:01 -

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   こんにちは。

僕もasの当事者で、集団の中で浮くこまったさんでした。

最初はじぶんが変わってることが嫌で仕方がありませんでしたが、

最近は超個性的なことが好きになってきました。

たぶん人とは違った世界が見えているんだと思います。

独特な感性を持っているということは、

けっこう羨ましがられたりもするのではないでしょうか。

asに生まれてありがとうと言いたいです。

[#21701] グッドウィル・ハンティング
 Ryu メールホームページ  - 07/8/27(月) 11:49 -

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   ▼らっこらっこさん:
こんにちは。返信ありがとうございます。

集団の中で浮くことについて、別にこまったさんと言って自分を否定する必要はないですよ。世の中には集団から浮くことを職業としている人もいるわけで、そういう人も社会には必要なんです。芸術家、芸能人、政治家や科学者などで目立っている人は、働きだしてからいきなり目立つようになるのではなく子供の頃から少し変わっているものです。
僕も今まで自分のことを変わっていると思って生きてきましたが、それを否定的に考えたことはなく、むしろその違いを生かすように生きてきました。

人とは違う感性を持っているということは貴重な存在なのです。でもそれを上手く活かせるようにするためには、普通の人がどういう感性を持っているのかを研究し、自分と普通の人のどこが同じでどこが違った感性なのかを認識する必要があります。僕はそのことをずーっと考えるようにしてきて、最近やっとその違いを正確に把握することが出来るようになり楽になりました。

多数派に属する人は同じような感性の人に囲まれているから他人との違いをそんなに考えなくても済んでしまい、考えようとする人もあまりいないのですが、少数派に属する自閉圏の人たちはそれを考えざるを得ない環境に生まれながらにしていることが多いので、その貴重な感性によって才能を開花できる可能性が高いのです。そのためには大変な苦労が必要ですけどね。

それを他の人がうらやましいと思うか妬ましいと思うかは、それこそそれを見る人の感性や精神的成熟度によります。精神的成熟度の低い人は何でも自分の持っていないものを欲しがって妬ましいと思い、手に入らない場合は軽蔑しようとします。
逆に精神的成熟度の高い人は、相手の中に自分の持っていないものを見つけるとそれを引き出して活かそうとします。気をつけて欲しいのは、僕は精神的成熟度についても高いことがいいとか低いことが悪いとか言っているわけではありません。ただ高い人は他人に与えられるものが多いし、逆に低い人は周りから奪うものが多いです。それを社会通念に当てはめると、良いとか悪いとかの価値判断が付くというだけです。

日本ではあまり自閉症やアスペルガーのことをポジティブに取り上げる例が少ないのでどうしてもネガティブな印象がつきまといますが、みんなが知らないだけでポジティブな例も探せばあります。

一番分かりやすいのは、アカデミー賞作品のグッドウィル・ハンティングという映画です。
マット・デイモンが演じる主人公のウィルが、ロビン・ウイリアムス演じるカウンセラーのマクガイアに出会って心を開いていくというストーリーです。
この主役のウィルが、公言されてはいませんがアスペルガー症候群という設定になっています。冒頭の本を読むシーンからディスレクシアの視覚的描写が試みられていますし、バーで口論になった友達に割って入って本のページを丸暗記して読み上げる写真記憶を見せつけます。裁判所でも法律を熟知した裁判官や弁護士も舌を巻くほどの法律の知識を披露し抵抗しますが、さすがに押さえつけられます。就職の面接ではNSA(国家安全保障局)の面接官に対して戦争することのバカバカしさをまるで風が吹けば桶屋が儲かるストーリーのように説明して見せます。

その代わり数学的な才能はずば抜けていて、並の秀才である大学教授は足下にも及ばないのです。これらのことは全て非論理的な思考であるアナログ思考によってもたらされます。言葉によって知識を吸収し勉強している大学教授や弁護士、裁判官などのデジタル思考の人達では歯が立たない分野です。

ストーリーでは彼が幼少期に虐待を受けたという設定になっていますが、それも理解されなかったということが一因にあるのではないかと思います。僕の家庭でも同じようなことがあって、それに思い悩んでカウンセリングに通っていたこともありました。僕はその時のカウンセラーにこの映画を紹介されて、君と同じだねと言われて見てみてびっくりしました。もちろん僕は数学的な才能はそれほど無いし、映画のようにあんなにかっこよく振る舞えないけど、似たような生き方をしてきたからです。例えば本を読まなくても色々なことが理解できたので学校へ行く必要がなかったところとか、色々あります。

日本語訳は訳文が普通の人っぽく訳されてしまっているので気付きにくいですが、英語の台詞をそのまま聞くと言葉遣いや話し方がアスペの人独特のしゃべり方を真似ています。英語が聞けるようでしたら是非英語で見てみることをお勧めします。

この映画を見た人達がどのような印象を受けたかは分かりませんが、主人公のウィルに対してはポジティブな感情移入ができた人が多いのではないでしょうか。
そういう意味でも、アスペでも充分うらやましがられたりすることはあると思いますよ。要は自分を信じて能力をいかに上手く使うかです。自分はダメだダメだと思っているうちは何をやっても上手くはいかないはずです。もしそう思ってしまう場合はAC的な精神状態にあり自己否定感が強いのかもしれませんので、映画のようにセラピーを受けるのがいいと思います。
らっこらっこさんも自分に自信を持ってがんばってくださいね。

Ryu

[#21703] Re:グッドウィル・ハンティング
 penpen ホームページ  - 07/8/27(月) 13:21 -

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   ▼Ryuさん:

こんにちはー。
はじめまして。
49歳主婦です。

グッド・ウィルハンティング、いい映画でしたね。
あの映画はモーツアルトと鯨のモデルになったジェリー・ニューポート博士の
エピソードからヒントを得たのかもと思いながら見た記憶があります。
発達障害はいろいろ否定的な見解も多い障害でしたが、アメリカの映画に限ると
この10年ぐらいはよい面に目を向けようとしている傾向が見えるように思います。

この映画はアスペルガー症候群のよい面に光を当てた映画ですが、
同時に主人公ウイルの3人の友人の一人に典型的なアスペ、ADHDの少年を配しています。
映画の中で最底辺の職業として描かれているピル解体の現場作業も
うまくできず、しつこく同じことを繰り返してしまう会話など、
あまりのリアリティにひやりとしました。
そのあたり、アメリカは発達障害の理解の深い国だと思います。
希望の光を見出す主人公のすぐそばにごく当たり前の
発達障害のリアルをも描き出しているからです。
それは“アイ・アム・サム”でも同様で、好人物の純粋な主人公のそばに
非常にリアルな普通の自閉症の人々を配してます。
キャメロン・ディアスがステキだった“メリーにくびったけ”も
自閉症の弟と共依存関係ぎみで人間関係を混乱させがちな
主人公がうまく描かれていました。
そのあたりの現実と理想の描きわけがこれらの映画の説得力になっているように思います。

映画は魅力的な媒体なので、わたしも映画から多くを学んでいます。
またよい映画があったら教えてください。

[#21713] Re:グッドウィル・ハンティング
 らっこらっこ  - 07/8/27(月) 22:08 -

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   レスありがとうございます。
英語は苦手ですが映画見てみますね。

[#21714] Re:グッドウィル・ハンティング
 Ryu メールホームページ  - 07/8/27(月) 22:42 -

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   ▼penpenさん:

こんばんは、初めまして。

>グッド・ウィルハンティング、いい映画でしたね。

はい、これは今でも僕の一番好きな映画ですね。

>この映画はアスペルガー症候群のよい面に光を当てた映画ですが、
>同時に主人公ウイルの3人の友人の一人に典型的なアスペ、ADHDの少年を配しています。

あの3人の中のベン・アフレックではなくて、背の高い車の整備が出来る友達でもなくて、ハンバーガーをねだる友達のことですかね?
こればかりは脚本を書いた当人に聞いてみないと何とも言えませんが、僕は彼にはアスペの特徴が見あたらないと思います。むしろこれといってこだわりや得意なこともないのに友達と世間話をして怠惰な時間を過ごし、連むことによって自分を守っているという社会性を持ち合わせているので、彼は限りなく定型に近いと思います。

僕は先日もアメリカへ行って発達障害関係のミーティングにいくつか参加し、沢山の成人アスペの人達とも会ってきたのですが、アスペの人達には素人では分かりにくい言葉遣いや話し方の特徴があります。特に普通の日本人が英語圏のアスペ(アメリカではよくAspieと言います)の人達の会話の特徴をつかむには、それなりに英語力が必要になります。言葉遣いについても彼の場合はアスペの特徴を捉えているとは思えませんでした。あくまでも僕の意見ですが。

アメリカでのアスペや自閉症、発達障害に対する認識は、日本よりは多方面にわたって活発ですが、イギリスなどヨーロッパに比べたら偏りがあると思います。いまだに水銀化合物ワクチン原因説を信じている人が多いのには驚きました。それを言ったら水俣病患者の人達はみんなアスペになってしまいますよね。

自閉症のネガティブに捉えられる特徴は、そのほとんどが周囲の環境やセラピーによって改善できる症状です。例えば話すときに視線を合わせられないという特徴も、会話中に相手から発せられる非言語情報を言語情報よりも優先させてしまうアナログ思考により起こっているからです。

つまり相手の言葉よりも表情などから読み取れる相手の裏の人格を敏感に読み取ってしまうために、言葉と本音とどちらを受け取っていいのか混乱してしまうからです。幼いときからそれが繰り返されると、たいていの場合言語情報に従って判断した方が意思疎通が上手くいく場合が多いので、非言語情報の入力を防ぐために顔を見ることが出来なくなるのです。
それらはアナログの非言語情報を無視することでデジタル志向の社会に適応しようとした過適応状態なので、その過適応を修正する形で訓練すれば改善します。

これは最初にご紹介した新聞記事にも書いてありますが、一般的にネガティブに捉えられているアスペの特徴は、元々アナログ思考が得意でデジタル思考が苦手なマスペに対してデジタル思考の定型発達者を演じるように強いる環境があるからなのです。自分の本来苦手なことだけて生きていくように過適応してしまえば、それは当然普通の人に比べたら出来ないことも多いです。でも普通の人が苦手なアナログ思考の必要な分野では、普通の人では及ばない能力を発揮することが出来ます。つまりアスペの人が生きやすくなる方法とは、如何に得意なアナログ思考を駆使して社会に正常適応する道を探るかということなのです。

そのためには、以前も書きましたが如何に自分の潜在能力を信じることが出来るか、またはアスペのお子さんを持っておられる方々には如何にお子さんに潜在能力を信じさせるように育てるかということが重要です。潜在能力というのは学校の授業やテストなどで測れる能力ではないので分かりにくいかもしれませんが、算数が苦手なほうが数学者に向いているとか、理系でも作家になる人は多いということを考えてみてください。学校で求められるスキルというのはそれを職業とする人達にとっては必要ないどころか、むしろ邪魔になることさえもあるのです。一概に計算が苦手だから理系は無理だとか、話が下手だから人と関わる仕事が無理だとか言えないところに潜在能力を測ることの難しさがあるのです。

他の映画についてですが、ご紹介くださった二つは僕は見ていないので何とも言えません。今度機会があったら見てみようと思います。ありがとうございました。
他にも紹介したい映画はあるのですが、説明が長くなりそうなのでまたの機会にします。

Ryu

[#21720] Re:グッドウィル・ハンティング(訂正して再投稿)
 penpen ホームページ  - 07/8/28(火) 10:10 -

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   ▼Ryuさん:
>こんばんは、初めまして。

おはようございます。

>僕は彼にはアスペの特徴が見あたらないと思います。

そうですか。

>むしろこれといってこだわりや得意なこともないのに友達と世間話をして怠惰な時間を過ごし、連むことによって自分を守っているという社会性を持ち合わせているので、彼は限りなく定型に近いと思います。

たしかビリーだったと思うのですが、
得意なことはなさそうですが、こだわりはあると思います。
しつこくハンバーガーをねだるところとか、同じジョークを何度も聞きたがるところとか…。
ビリーは仲間内でもちょっと持て余されていたようにわたしは感じました。
ビリーを社会性を持ち合わせている定型に近い人間ととるか、アスペ性の高い自分に近い人間ととるかは
発達障害に対する理解の違いとは思いますが、
彼をどう捉えるかによって
セルフエスティームに大きな違いが出そうです。

>僕は先日もアメリカへ行って発達障害関係のミーティングにいくつか参加し、沢山の成人アスペの人達とも会ってきたのですが、アスペの人達には素人では分かりにくい言葉遣いや話し方の特徴があります。特に普通の日本人が英語圏のアスペ(アメリカではよくAspieと言います)の人達の会話の特徴をつかむには、それなりに英語力が必要になります。言葉遣いについても彼の場合はアスペの特徴を捉えているとは思えませんでした。あくまでも僕の意見ですが。

そうですか。

>アメリカでのアスペや自閉症、発達障害に対する認識は、日本よりは多方面にわたって活発ですが、イギリスなどヨーロッパに比べたら偏りがあると思います。いまだに水銀化合物ワクチン原因説を信じている人が多いのには驚きました。それを言ったら水俣病患者の人達はみんなアスペになってしまいますよね。

わたしは自分が体験していないことは否定しないことにしています。
もしかしたらそれが当てはまる人がいるのかもしれないと考えます。

>自閉症のネガティブに捉えられる特徴は、そのほとんどが周囲の環境やセラピーによって改善できる症状です。例えば話すときに視線を合わせられないという特徴も、会話中に相手から発せられる非言語情報を言語情報よりも優先させてしまうアナログ思考により起こっているからです。

視線を合わせることができないという特徴は確かに改善が可能だと思います。

>つまり相手の言葉よりも表情などから読み取れる相手の裏の人格を敏感に読み取ってしまうために、言葉と本音とどちらを受け取っていいのか混乱してしまうからです。幼いときからそれが繰り返されると、たいていの場合言語情報に従って判断した方が意思疎通が上手くいく場合が多いので、非言語情報の入力を防ぐために顔を見ることが出来なくなるのです。

うーん、視線を合わせないというのは
子どもの自閉性を見分ける最も初期の特徴のひとつなので
何かの学習の結果というより、生まれつきの何かの欠落から
生じる特徴だとわたしは感じています。

>これは最初にご紹介した新聞記事にも書いてありますが、一般的にネガティブに捉えられているアスペの特徴は、元々アナログ思考が得意でデジタル思考が苦手なマスペに対してデジタル思考の定型発達者を演じるように強いる環境があるからなのです。自分の本来苦手なことだけて生きていくように過適応してしまえば、それは当然普通の人に比べたら出来ないことも多いです。でも普通の人が苦手なアナログ思考の必要な分野では、普通の人では及ばない能力を発揮することが出来ます。つまりアスペの人が生きやすくなる方法とは、如何に得意なアナログ思考を駆使して社会に正常適応する道を探るかということなのです。

アナログとデジタルという言葉ですが、定型の人は論理的思考をつみかさね、
アスペルガーの人々は直感やひらめきに従う傾向があるように感じています。

直感やひらめきは視覚的な思考をする人にありがちな傾向で
それはそれで便利なところもありますが、
自分の思考を天啓のように完璧なものと受け取ってしまい、
自分の論理の破綻に気づきにくい傾向が出るようです。

>そのためには、以前も書きましたが如何に自分の潜在能力を信じることが出来るか、またはアスペのお子さんを持っておられる方々には如何にお子さんに潜在能力を信じさせるように育てるかということが重要です。

自分の能力を空想的でなく信じる気持ちは大事ですね。


[#21728] Re:グッドウィル・ハンティング
 Ryu メールホームページ  - 07/8/28(火) 22:46 -

引用なし
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   ▼penpenさん:
こんばんは、返信ありがとうございます。

お話を続けた方がいいのかどうか分かりませんが、一応僕が投稿したトピックなので最後は僕が締めて終わろうと思っています。もし終わりで構わないのでしたら返信をいただかなくても構いませんし、ご意見がおありでしたら続けてくださっても結構です。

>>むしろこれといってこだわりや得意なこともないのに友達と世間話をして怠惰な時間を過ごし、連むことによって自分を守っているという社会性を持ち合わせているので、彼は限りなく定型に近いと思います。
>
>たしかビリーだったと思うのですが、
>得意なことはなさそうですが、こだわりはあると思います。
>しつこくハンバーガーをねだるところとか、同じジョークを何度も聞きたがるところとか…。

実際にアスペのお子さんをお持ちのようなのでpenpenさんは当然ご存じかとは思いますが、見ている方が誤解されるといけないので補足させていただきます。

アスペや自閉症特有のこだわりというのは字義通りの「こだわり」では必ずしもありません。ハンバーガーをねだるとか同じジョークを何度も聞きたがるというような行動は自閉症特有のこだわりとしては分類されないのが一般的でしょう。お金が無くて腹が減ったら誰でも食べ物をねだることはありますし、忘れてしまったまたは理解できなかったジョークは聞き返すこともあるでしょう。

自閉症特有のこだわりというのは一般的にこのようなものを言うのではなく、例えば乗り物や植物などにこだわって名前を覚えるだとか、特定の誰かを真似たような話し方にこだわったりだとか、地面のタイルの模様に沿って歩くことにこだわるといった類のことです。

また手洗いや歯ブラシにこだわったりするような症状は、プロセス嗜癖だとか強迫性障害などの二次障害として分類されます。これらの二次障害は精神療法などにより改善可能ですので、自閉症特有の本来のこだわりとは違います。お間違えの無いように。

>ビリーを社会性を持ち合わせている定型に近い人間ととるか、アスペ性の高い自分に近い人間ととるかは
>発達障害に対する理解の違いとは思いますが、
>彼をどう捉えるかによって
>セルフエスティームに大きな違いが出そうです。

ここも重要なポイントなのですが、健全なアスペの人にとってはセルフエスティーム、いわゆる自尊心というものは世間一般の人が感じるようなものと少し意味合いが違ってきます。定型の人の多くは職業などにそれぞれ絶対的な価値を置き、大学教授はすばらしい仕事、掃除夫は底辺の仕事などと分類し尊敬や軽蔑の対象としますが、ことアスペの人間にとってはそれらの価値観が絶対的なものであることは少なく、相対的であるのが普通です。

これは映画の中でもウィルが口にしていますが、数学者として世間のために働くことも掃除夫や工事現場でブロックを壊して働くことも価値は同じだと言っています。アスペの相対的な価値観だと、数学者も必要かもしれないが工事現場で働く人も世の中には絶対必要で、両方とも必要なものなのだからそれらに優劣は無いということです。教授の斡旋で大企業に就職が決まりかけたウィルも、結局最後には別の道を選ぶために旅立ってしまいましたよね。

これはあくまで健全なアスペの話で、例えば「東大へ入学して大企業へ入らなければ生き残れない」などと言われて幼い頃から育ち脅迫的になってしまっているアスペには当てはまりません。そのような脅迫症状で周りが見えなくなって偏執してしまっている例もよく見受けられますが、たいがい燃え尽きて鬱などの精神疾患を患いつらい思いをすることになるでしょう。もしくは自己愛性人格などと診断されるかもしれません。実は僕も以前は鬱でしたけどね。

この相対的な価値観はやはりアナログ思考から来るもので、頭の中でチェスの駒の動かし方を考えているときと同じように掃除夫が居て大学教授も居ないと世の中が成り立たないということを考えてしまうからなのです。逆にデジタル思考の人達は大学教授や掃除夫という観念を言葉として扱う際に、それぞれに価値づけをして記憶しているためにどうしても価値判断が介在してしまうのです。ちなみに今の僕はほとんど相対的な価値観で考えることが出来るようになっているので、ビリーが掃除夫だろうが大学教授だろうがセルフエスティームに違いはありません。

>>いまだに水銀化合物ワクチン原因説を信じている人が多いのには驚きました。それを言ったら水俣病患者の人達はみんなアスペになってしまいますよね。
>
>わたしは自分が体験していないことは否定しないことにしています。
>もしかしたらそれが当てはまる人がいるのかもしれないと考えます。

僕も完全に否定しているわけではないのですが、あまりの根拠のなさに驚いたと書きました。アメリカではおそらく日本でいう水俣病ほど有名な水銀公害が無かったためか信じる人も多いようですが、水銀化合物ワクチン説を主な自閉症の原因として受け入れてしまえば、水俣病患者=<自閉症と言っているのも同然になってしまうからです。それに僕は一応研究をしている者ですので、色々な説のどれが有力かということにプライオリティーを置かないと研究が出来ません。もちろん水銀化合物の被害者で且つ自閉症という方もいらっしゃると思うので、当てはまる人はいると思っています。

>うーん、視線を合わせないというのは
>子どもの自閉性を見分ける最も初期の特徴のひとつなので
>何かの学習の結果というより、生まれつきの何かの欠落から
>生じる特徴だとわたしは感じています。

人間の赤ちゃんは胎児の頃から学習が始まっています。視覚的な学習については目が見えるようになった瞬間から始まっているでしょう。その段階で、自分という主体にとって好ましいと思われる情報と好ましくないと思われる情報の分類は行われ始めているのです。そしてセラピーによって克服できる症状ならば、生まれつきの何らかの欠落という説は成り立たなくなるのです。

まあこれは僕自身が以前は他人と視線を合わせながら話すことが出来なくて、最近になってそれが出来るようになったので、その体験からあくまでも事実を述べているだけです。そしてそれがアナログ優位脳理論と合致する経過であるために例としてあげています。

>アナログとデジタルという言葉ですが、定型の人は論理的思考をつみかさね、
>アスペルガーの人々は直感やひらめきに従う傾向があるように感じています。

アナログとデジタルという言葉、やはり一般の人には本質的な意味が理解しにくいようですね。説明不足で申し訳ありません。アナログとデジタルの定義を僕の論文から抜粋して引用します。

>> 人間は自然界の動物のなかで唯一言葉を利用してコミュニケーションを行なう動物として知られる。しかし言葉という情報は自然界に存在する事物をそのまま捉えているわけではなく、人間の解釈によって生み出された一種の符号であると考えられるので、言葉はデジタル信号と言うことが出来る。実際に英語のアルファベットは26進数の符号と言えるし、日本語で使われる漢字やひらがな、カタカナもコンピュータで扱われる際にはJISコードなどの数桁の符号に置き換えられている。どちらも有限の符号によって置き換えられる情報であり、digitalの語源であるラテン語のdigitalis(指)で数えるという意味に当てはまる。一方例えば視覚で扱う映像は、外界に存在する物体に反射した光をそのまま視神経を通して取り入れた情報であり、それを脳内の化学物質や神経細胞の活動電位として再現し知覚・認識しているわけである。言い換えれば外界に存在する物体を電気信号や化学物質にそのまま置き換えて情報として扱っているわけで、analogの語源であるanalogy(類比、類推)という意味に当てはまる。

そして仰るようにアナログ思考とは即ち直感やひらめきを生み出す無意識の作用を意味します。普通の人から見て直感やひらめきが非論理的で信憑性に欠けると思われるのは、それは普通の人がアナログ思考が比較的苦手で無意識を見渡すことが難しいからです。

これは僕のブログの「意識の海」という項目に書いていますが、人間の意識を海面上に例えるとしたら無意識は海中に例えられます。

http://submariner-spirit.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_b10e.html

普通の人にとっては海中を見渡すことが難しいので海面に顔を出している情報だけで状況を判断するのは不確実だと思うのでしょうが、健全な自閉症の人にとっては海面下を見渡すことが出来るので確実性の高い状況判断が出来るのです。そしてアナログ情報というのは人間の意思が介在する以前の情報をそのまま記憶しているので、より完璧な自然に近い情報になります。

>直感やひらめきは視覚的な思考をする人にありがちな傾向で
>それはそれで便利なところもありますが、
>自分の思考を天啓のように完璧なものと受け取ってしまい、
>自分の論理の破綻に気づきにくい傾向が出るようです。

理論の破綻については、自分の見ている無意識の情報に自分の意思が介在し解釈が加わったときに起こりえます。しかしその解釈の妥当性を上げる訓練をしていけば確実性の高い解釈が出来るようになるのです。ユング派の分析心理学では夢の分析などを行って精神療法に役立てていますが、これも夢という無意識の光景に的確な解釈を与えることによって治療効果を上げているのです。僕もそのような訓練を受けたのでこのように無意識を言語化して論理的に表現できるようになったのです。けっして最初から出来たわけではありません。

>自分の能力を空想的でなく信じる気持ちは大事ですね。

長くなってしまいましたが、上記に上げたことはどれもこれもやはり自分の潜在能力、つまり無意識の作用を信じようとしないと始まらないのです。また映画の話になりますが、スターウォーズでもあるように自分の力を信じることが大切ということですね。

[#21737] Re:グッドウィル・ハンティング
 penpen ホームページ  - 07/8/29(水) 10:01 -

引用なし
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   ▼Ryuさん:

返信ありがとうございます。

>(しつこく)ハンバーガーをねだるとか同じジョークを何度も聞きたがるというような行動は自閉症特有のこだわりとしては分類されないのが一般的でしょう。

Ryuさんとわたしでは自閉症の理解に違いがあるようです。

>お金が無くて腹が減ったら誰でも食べ物をねだることはありますし、忘れてしまったまたは理解できなかったジョークは聞き返すこともあるでしょう。

映画や日常生活で見かけるちょっと変わった行為をどう捉えるかで
自閉傾向のある人の社会性の一部が理解できる場合があります。
(東京書籍 『自閉症とアスペルガー症候群』の中にマーガレット・ディーイが
そのようなテストの報告をしています。
平凡なやり取りの中にいくつかの異常な関わりが混じったストーリーを組み立て、自閉症の人と正常な学生がどういう反応の違いを見せるかを考察しています。
例えばおなかが空いていたので、飛行機の機内食だけでは足りず、
機内食を残した子どもの機内食をくれるようにその親に頼む行為をどう思うか等、
非常に興味深いです)

>また映画の話になりますが、スターウォーズでもあるように自分の力を信じることが大切ということですね。

フォースを使ってのRyuさんの今後の活躍を期待しています。

[#21748] Re:グッドウィル・ハンティング
 Ryu メールホームページ  - 07/8/29(水) 23:10 -

引用なし
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   ▼penpenさん:

こんばんは、お返事ありがとうございます。

>>(しつこく)ハンバーガーをねだるとか同じジョークを何度も聞きたがるというような行動は自閉症特有のこだわりとしては分類されないのが一般的でしょう。
>
>Ryuさんとわたしでは自閉症の理解に違いがあるようです。

うーん、僭越ながら言いますと、少なくともあの映画の中で端役であるビリーの断片的な描写だけを見て、彼のことを発達障害か何かだと指摘する専門家はまず居ないと思いますよ。

>平凡なやり取りの中にいくつかの異常な関わりが混じったストーリーを組み立て、自閉症の人と正常な学生がどういう反応の違いを見せるかを考察しています。
>例えばおなかが空いていたので、飛行機の機内食だけでは足りず、
>機内食を残した子どもの機内食をくれるようにその親に頼む行為をどう思うか等、
>非常に興味深いです)

これも、この内容だけを見ると知らない人は誤解してしまう可能性があると思うので補足させていただきます。

認知・行動科学におけるこのような実験はこれに限らず色々行われています。しかし、そもそも人間の論理というデジタルな秩序体系の上でのみ作られた”異常な交わり”とか”特殊な環境”という実験上の設定は、アナログ思考をする自閉症の特性をつかむためには公平で適切とは言えないんです。何故なら論理のみによって作り上げられる特殊な環境は、人間の”言葉”で設定できる範囲のみをパラメータとして採用しています。しかし人間は無意識というアナログ思考の部分を持っているので、その無意識に記憶されている想定外の事象も含んだ非言語的パラメータの条件設定が出来ないのです。

ですから本来このような実験は臨床の現場で偶然に起こった現象を蓄積して、それらを総括的に集計するべきなのですが、そのことをよく理解しない一部の研究者はそのような可能性を考慮しないで拙速に条件設定をし現象をミスリードしがちになります。

有名なサリーとアン課題における考察についても、客観視と主観視の区別が出来ていないというだけの現象を、心の理論を推測できないなどとミスリードしてしまうことがあるわけです。挙げていただいた例では話を聞いて判断するだけと実際に体験して判断するのとの違いが考慮されていないですよね。見ている(または聞かされている)行為をどう思うか、などは主客関係の置換が必要になる設定なので、アナログ思考の自閉症の人の言動を把握するのには適していない不公平な設定です。アナログ思考の人は主観的に捉えたこと以外の判断を誤る傾向があるのは確かです。つまり体験的に取り入れた情報でなければそれに伴う羞恥心などの想定が難しくなるのです。

上記のようなことが分かっている専門家がこのような実験結果を参考に特性を判断するのならばいいのですが、単に実験結果を字義通りに受け取ってしまう一般の方が、このような結果だけを言葉で知って実際の現象把握に用いようとするので発達障害の自己診断には誤解がつきまとうのです。

自閉症の人が会話の内容を字義通りに受け取ってしまう傾向があるなどと揶揄されることが多々ありますが、これは一般の定型の人でも字義通りに受け取ってしまうという良い例です。つまり、自分が理解していない事象を言語情報だけに頼って理解しようとすると、自閉症だろうが定型だろうが誰でも字義通りに受け取ってしまうのです。自閉症の人が字義通りに受け取ってしまう場合は、前回の返信[#21728]で挙げたような相手の顔を見ずに非言語情報をキャンセルしてしまうといったことから起こりえます。しかし相手の気持ちが理解できているかどうかということは、自閉症の人も普通の人を理解しにくいですが逆に普通の人も自閉症の人ことを理解できていない場合が多いということでお互い様なのです。

今回の主題は'It is not a disease, it is a way of life'ということで自閉症に対するネガティブな印象を払拭するポジティブキャンペーンが目的でしたので、(既にご存じのpenpenさんには)しつこいようですがあえて説明させていただきました。日本ではまだまだネガティブな認識が主流ですからこれ以上ネガティブキャンペーンをする理由が無いですし、ポジティブに捉えたほうがみんなにとっていいと思うんです。

人を軽蔑しようとする人は人の悪いところばかりを見つける
人を敬おうとする人は人の良いところばかりを見つける

だったらみんな良いところを見るようにして、人を敬って生きた方が幸せだと思うからです。なんてね。

Ryu

[#21749] Re:グッドウィル・ハンティング
 らっこらっこ  - 07/8/29(水) 23:33 -

引用なし
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   映画みました。
とてもよかったです。

「宝くじの当たり券をもってる」
という台詞が好きです。

英語はさっぱりわかりませんでした(笑)

[#21750] Ryuさんへ
 秋桜(管理人) メールホームページ  - 07/8/29(水) 23:58 -

引用なし
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   管理人の秋桜です。療育経験のある当事者で、成人後は言語聴覚士(ST)として医療現場や行政機関等で働いてきました。今は体調を崩したので療養しながら不定期の仕事をしています。

ずっとやり取りを見ていましたが、これ以上は水掛け論になると思いますからこの辺でやめてほしいです。

penpenさんにはpenpenさんなりの考えや根拠があって感想を書いたのですから、それについてあれこれ言うのはどうかな、と思います。「そういう考え方もあるんだ」と受け止められないのでしたら書き込みを控えた方がいいでしょう。

それにpenpenさんは子育ての経験もありますし、福祉関係のお仕事をされてきた方です。人を観察・考察するしてきた経験は豊富だと私は考えています。

また発達障害の研究をされている、とのことですがどのようなスタンスで研究されているのでしょうか?臨床現場などでの経験はおありなのですか?

発達障害は文献だけでは分かりにくい障害ですし、実際に関わってみないと見えてこないこともたくさんあります。私自身支援職に就いてみて「ああ、自分は今まで自分自身が当事者だったからと分っていたつもりだったけど全然分かっていなかったな」と感じたことが多々ありました。

一人一人の違いを認めることが大事というメッセージならば、自分と違うメッセージも認め、「じゃあ、その中でどう折り合いを付けていったらいいのか」を考えることが必要です。

[#21752] Re:Ryuさんへ(correction)
 Ryu メールホームページ  - 07/8/30(木) 2:09 -

引用なし
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   ▼秋桜(管理人)さん:
こんばんは、いつも書き込みさせていただいています。

>ずっとやり取りを見ていましたが、これ以上は水掛け論になると思いますからこの辺でやめてほしいです。

そうですね。ですから僕はお返事がない場合には締めるつもりでいました。これで締めて構わないようでしたら締めます。
そもそも僕は言葉を単なるコミュニケーションの道具として認識していますので、言葉を闘わせる目的で使う討論は好きではありません。penpenさんから頂いたお返事にも討論の匂いは読み取れませんでしたのでそのつもりはありませんでした。

>penpenさんにはpenpenさんなりの考えや根拠があって感想を書いたのですから、それについてあれこれ言うのはどうかな、と思います。「そういう考え方もあるんだ」と受け止められないのでしたら書き込みを控えた方がいいでしょう。

僕はpenpenさん自身の考えに対して否定するように書いた覚えはありません。もしそう取れるような箇所がありましたらお詫びします。ただ投稿の目的からいって説明不足で誤解を招くような表現については補足させていただきました。

>また発達障害の研究をされている、とのことですがどのようなスタンスで研究されているのでしょうか?臨床現場などでの経験はおありなのですか?

ある有名な精神科医から承認いただき、まだ経験は短いですが都内のクリニックにおいて発達障害に限らずクライアントさんと関わっています。また前述しましたが僕は独自の理論に基づいて研究しケンブリッジ大学のサイモン教授とも連絡を取っています。コロラド州立大学のテンプル・グランディンさんとも先日お話ししました。僕の理論は彼らの考えに近いスタンスです。他にも海外のいくつかの団体と連絡を取り、主に成人の当事者の方達と関わっています。更に僕はたまたま幼少中学校と自閉症児と普通児の混合教育で有名な学園に通っていましたので、幼少期から10年以上も自閉症のクラスメートと対等な目線で接し体得的に発達障害者の特徴を把握しています。この掲示版上では無理ですがもう少し詳しいご説明を管理人様に直接メールすることも可能です。もし説明が必要でしたらメールを頂ければ幸いです。

僕と同じようなスタンスで活動している団体は、以下のようなところです。
AASCEND http://www.aascend.net/index.shtml
ANI http://ani.autistics.org/
AUTASTICS http://www.autastics.org/
AUTSCAPE http://www.autscape.org/about/
GRASP http://www.grasp.org/
OAARSN http://www.ont-autism.uoguelph.ca/

>発達障害は文献だけでは分かりにくい障害ですし、実際に関わってみないと見えてこないこともたくさんあります。私自身支援職に就いてみて「ああ、自分は今まで自分自身が当事者だったからと分っていたつもりだったけど全然分かっていなかったな」と感じたことが多々ありました。

僕はディスレクシアですので、むしろ文献に頼った理解はしていないつもりです。ほとんどの知識を自らの経験から吸収することにより理論の着想を得ています。インターネット上で公開できるものが英文しかなくて恐縮ですが、よろしければご覧ください。

http://submariner-spirit.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/the_analog_domi.html

>一人一人の違いを認めることが大事というメッセージならば、自分と違うメッセージも認め、「じゃあ、その中でどう折り合いを付けていったらいいのか」を考えることが必要です。

そうですね、但しこと少数派問題に限るなら小さな声を大きく取り上げる必要もあるかと思います。コンベンショナルな媒体が担ってきたジャーナリズムはそのような作用がまだありましたが、インターネットという媒体はそのような作用が薄く市場原理が反映されやすいと思います。そのような昨今の状況を鑑みてこの度は大目に見ていただけないでしょうか。よろしくお願いします。

Ryu

[#21757] Ryuさんへ
 penpen ホームページ  - 07/8/30(木) 10:16 -

引用なし
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   ▼Ryuさん:

おはようございます。

>今回の主題は'It is not a disease, it is a way of life'ということで自閉症に対するネガティブな印象を払拭するポジティブキャンペーンが目的でしたので、(既にご存じのpenpenさんには)しつこいようですがあえて説明させていただきました。

どうもありがとうございます。

>だったらみんな良いところを見るようにして、人を敬って生きた方が幸せだと思うからです。なんてね。

それはほんとうにそのとおりですね。
いろいろ丁寧なご説明をありがとうございました。

[#21758] 秋桜さんへ
 penpen ホームページ  - 07/8/30(木) 10:22 -

引用なし
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   ▼秋桜(管理人)さん:

仲裁、ありがとうございます。
発達障害のよい面も悪い面もよくご存知でありながら
よい面に目を向けようとするご夫妻の生き方には
いつも感銘を受けています。
たぶん、シンユウさんと秋桜さんご夫妻の存在そのものが
発達障害者が見習うべきひとつの可能性を示してくださっていると思います。

これからもよろしくお願いします。

[#21768] penpenさんへ
 Ryu メールホームページ  - 07/8/30(木) 21:19 -

引用なし
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   ▼penpenさん:
>
>どうもありがとうございます。

こちらこそ、伝えたいことがあったので無理に絡んでしまって、お気を悪くさせてしまい申し訳ありませんでした。お付き合いいただきありがとうございました。

[#21769] Re:グッドウィル・ハンティング
 Ryu メールホームページ  - 07/8/30(木) 21:22 -

引用なし
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   ▼らっこらっこさん:
>映画みました。
>とてもよかったです。

でしょ?

>「宝くじの当たり券をもってる」
>という台詞が好きです。

らっこらっこさんも、いつか宝くじの当たり券を換金できる日が来るといいですね。

[#21770] Re:penpenさんへ
 penpen ホームページ  - 07/8/30(木) 22:21 -

引用なし
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   ▼Ryuさん:

>伝えたいことがあったので無理に絡んでしまって、お気を悪くさせてしまい申し訳ありませんでした。お付き合いいただきありがとうございました。

わたしのほうこそ、テーマに関係ないことを言ってしまったと思っていますが
別にRyuさんとのやり取りを不愉快に思ったりはしていません。
思いがけないことを言われると訂正したくなります。
ではでは。

[#21771] Re:グッドウィル・ハンティング
 らっこらっこ  - 07/8/30(木) 22:54 -

引用なし
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   そうですね、宝くじの当たり券を換金できる日が
くるといいなと思います。

いい映画を教えていただいてありがとうございます。

[#21780] 【質問】秋桜さん,Ryuさんへ
 POLINECIA  - 07/9/1(土) 0:42 -

引用なし
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   大まかな話は終わっているので、
コメントするかどうか迷いましたが1点だけ。。。

▼秋桜(管理人)さん:
>また発達障害の研究をされている、とのことですがどのようなスタンスで研究さ
>れているのでしょうか?臨床現場などでの経験はおありなのですか?
(中略)
>発達障害は文献だけでは分かりにくい障害ですし、実際に関わってみないと見え
>てこないこともたくさんあります。私自身支援職に就いてみて「ああ、自分は今
>まで自分自身が当事者だったからと分っていたつもりだったけど全然分かってい
>なかったな」と感じたことが多々ありました。


▼Ryuさん:

>ある有名な精神科医から承認いただき、まだ経験は短いですが都内のクリニック
>において発達障害に限らずクライアントさんと関わっています。また前述しまし
>たが僕は独自の理論に基づいて研究しケンブリッジ大学のサイモン教授とも連絡
>を取っています。コロラド州立大学のテンプル・グランディンさんとも先日お話
>ししました。僕の理論は彼らの考えに近いスタンスです。他にも海外のいくつか
>の団体と連絡を取り、主に成人の当事者の方達と関わっています。更に僕はたま
>たま幼少中学校と自閉症児と普通児の混合教育で有名な学園に通っていましたの
>で、幼少期から10年以上も自閉症のクラスメートと対等な目線で接し体得的に
>発達障害者の特徴を把握しています。この掲示版上では無理ですがもう少し詳し
>いご説明を管理人様に直接メールすることも可能です。もし説明が必要でしたら
>メールを頂ければ幸いです。

お二方とも意見の違いこそあれど、
アスペルガー理解には
豊富な臨床経験あるいは他の当事者と関わった経験が必要
との認識を共有されているとお見受けいたします。
しかし、本当にそうなのでしょうか?

海外の当事者運動の動向を見る限り、
アスペルガー当事者が支援の世界の解釈体系とは一線を画して
自らの体験としての障害・団体独自の見解を提示することは
決して珍しいことではございません。
また、それらを語るのに特に臨床経験が必要との話も
聞いたことはございません。
むしろ、専門家でなく臨床経験のない者がアスペルガー理解について
語るなという態度こそが問題にされる場合さえございます。

あたし自身は、
それが当事者の間で語られていることなのか・
臨床家によってなされた説明なのか・
自己基準なのかを含めて出典をはっきりさせること、
いかなる説明であれ、それはアスペルガー当事者を一面からしか
捉えることには成功していないということ
さえ踏まえていれば、
説明は誰がやってもいいことだと理解いたしますが
如何なものでしょうか?

※一面しか捉えられていないというのは、
どんな臨床家のもと・支援団体・当事者同士であっても
それぞれのカラーがあり、
そこには非常によく似た特徴・世界観を持った当事者が
集まってきやすいという意味でございます。
たくさんの当事者と関わっているということは、
必ずしもアスペルガーを全体的に理解している
ということを意味しないのではないか、と。

また、これは対話形式の問題なのですが、
意見のやりとりで極端な経験主義
(「あなたには経験がないのだから、語るべきではない」的な態度)
に陥るのはあまり好ましいことではないと考えてございます。
それを突き詰めてしまえば、

当事者ではない支援者や保護者は
当事者としての経験がないのだから当事者について
語ってはならないし、
支援者や保護者としての経験のない当事者は、
支援者や保護者のことについて語ってはならない。

子どもの頃から支援を受けていた当事者は
中途診断者の経験がないのだから
中途診断者について語ってはならないし、
中途診断者は
早期発見された当時者のことについては何もわかっていないのだから、
何も語ってはならない

という話になってしまいます。
掲示板の管理権に踏み込んで
意見を申し上げるつもりは毛頭ございませんが
かなり風通しの悪いやりとりとは申しあげられないでしょうか?

以上の件に関して、
可能であればご回答のほどお願い申し上げます。

(補足)
Ryuさんが紹介していた文についても
ちょっとだけ感想を述べておきましょう。
このスレッドのタイトルにもなっている結論については
アメリカの当事者団体ではよく見受けられる見解
との印象を持っております。

一方で、あたしの仲間内では
これらの主張が別種の能力主義に陥っているのではないか、
という議論がなされたことがございました。
AS当事者が自らのあり方・生き方を肯定するのに、
自分たちは『能力が高いんだ』『社会に参加できているんだ』
『社会の役に立っているんだ』『別の形でできる人間なんだ』
ということを強調する必要があるんだろうか?
あるいは、できる・役に立つ・参加できているなんてことに、
誇りを感じる必要があるんだろうか?と。

「できる」ということの強調,個人的な困難の否定,
知能検査をはじめとする支援の評価尺度の否定といった主張には、
その裏返しとして「能力に対する強い憧れ」という側面がない訳でも
ございません。

この点については、Ryuさんの知っている範囲で、
議論などはございますか?

[#21813] Re:実は私も
 ジョン メールホームページ  - 07/9/1(土) 23:58 -

引用なし
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   ▼POLINECIAさん:
>大まかな話は終わっているので、
>コメントするかどうか迷いましたが1点だけ。。。
>
ジョンと申します。自己紹介は省略します。

実は私もRyuさんが07/8/22(水) 1:00に投稿された時、
「臨床」という考え方と、「生きかた」という問題が
実は別の切り口で考えられる問題ではないかと投稿したいと
思っていました。仕事上、時間が無く、今日まで遅くなって
しまいました。

その意味では、POLINECIAさんの意見とかぶる部分が
あるかもしれません。

私が提起した問題から言うと、penpenさんは別に「臨床」という
観点からおっしゃっていないので、私は別に問題ないと
思っています。

様々な方たちがいろいろな意見を持っておられて、[#20872]
紹介された講演の演者の方も様々な非定型発達に関する理論を
展開されておられました。
http://www.geocities.jp/johnhealing/koumori.html
http://www.autism.jp/sibu/0103_asp.shtml#o01

今、ここで私の意見を申し上げるのは控えますが、
多面的な見方があっていいと思っています。

[#21816] POLINECIAさんへ
 Ryu メールホームページ  - 07/9/2(日) 2:31 -

引用なし
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   ▼POLINECIAさん:

こんばんは、初めまして。ご意見ありがとうございます。

>>お二方とも意見の違いこそあれど、
>アスペルガー理解には
>豊富な臨床経験あるいは他の当事者と関わった経験が必要
>との認識を共有されているとお見受けいたします。
>しかし、本当にそうなのでしょうか?

えーと僕の場合は、秋桜様に臨床経験を訪ねられたので答えましたが、あまり自分の肩書きや経験を語って自分の意見に威厳を持たせるような説き伏せ方は好きではありません。本来ならば僕は、単に当事者としての立場から自己主張したものがきちんと受け入れられればそれに超したことはないと思っています。ただこの掲示板を見ていると、例えば「自分でも何を言っているか分かっていない自閉症者の言うことは聞くに足りない」「当事者よりも専門知識を持った専門家の方が当事者のことをよく分かっている」とでも言わんばかりの発言(ちょっと極端に書いています)も過去にあったような記憶があるので、少しは権威の衣も身につけなければ話も聞いてもらいにくいのかな、と思っています。まあ僕にとっては権威の衣なんて裸の王様の透明な服を着ているようでスースーしますけど。

ただこれは自閉か定型かに依らず誰にでも言えることだと思いますけど、自分のことを客観的に見て自分自身を理解するためには、ある程度他人という鏡に自分自身を映して観察してみる必要はあると思います。他人というのは別に同じ自閉圏の人でなくても構わないし、人間でなくても構わないと思います。僕の場合はネコでした。(こんなこと言っても僕が何を言っているのか分かってくれない人も多いかもしれませんが、分からなかったら気にしないでください。)
だからそういう意味では、臨床経験や他の当事者との関わりも自分を客観視するいい材料にはなると思います。

>海外の当事者運動の動向を見る限り、
>アスペルガー当事者が支援の世界の解釈体系とは一線を画して
>自らの体験としての障害・団体独自の見解を提示することは
>決して珍しいことではございません。
>また、それらを語るのに特に臨床経験が必要との話も
>聞いたことはございません。
>むしろ、専門家でなく臨床経験のない者がアスペルガー理解について
>語るなという態度こそが問題にされる場合さえございます。

そうですね。僕が連絡を取っているような団体でもことさら専門家の意見を仰がなければ当事者が自分自身について語れないなんてことは全くありません。
例えば一つ前の返信[#21752]でご紹介したANIという団体のホームページを見るとこう書いてあります。

The best advocates for autistic people are autistic people themselves.
「自閉症者にとって最良の擁護者は自閉症者自身だ。」

そしてこの団体の創始者であるJim Sinclairという人は最初にご紹介した新聞記事でもこう言っています。(長いので訳しません。)

"It's just that most of them were talking in terms of advocacy for rather than by autistic people. They were mostly parents, speaking up about what they thought were important issues and they did a lot of good things, in terms of advocating for more community services and opposing things like the use of [harsh behavioural] 'therapies'. But I think I was one of the first autistic people to promote the idea that autistic people can and should speak up for ourselves."

>あたし自身は、
>それが当事者の間で語られていることなのか・
>臨床家によってなされた説明なのか・
>自己基準なのかを含めて出典をはっきりさせること、
>いかなる説明であれ、それはアスペルガー当事者を一面からしか
>捉えることには成功していないということ
>さえ踏まえていれば、
>説明は誰がやってもいいことだと理解いたしますが
>如何なものでしょうか?

そう思います。

>※一面しか捉えられていないというのは、
>どんな臨床家のもと・支援団体・当事者同士であっても
>それぞれのカラーがあり、
>そこには非常によく似た特徴・世界観を持った当事者が
>集まってきやすいという意味でございます。
>たくさんの当事者と関わっているということは、
>必ずしもアスペルガーを全体的に理解している
>ということを意味しないのではないか、と。

ここはPOLINECIAさんの仰ることを僕がちゃんと読み取れていないかもしれないのでお尋ねします。理解できているか自信がありませんが、例えばこういう風にも言い換えられるでしょうか?

言葉に表される部分というのは意識のほんの一部であり、必ずしも言葉にした内容が意識全体を言い表しているとは言えない。だからどのような集団の主張も、その集団の意識で把握しているものの一面しか表していない。

>また、これは対話形式の問題なのですが、
>意見のやりとりで極端な経験主義
>(「あなたには経験がないのだから、語るべきではない」的な態度)
>に陥るのはあまり好ましいことではないと考えてございます。

そうですね。僕も会社勤めの頃は先輩からよくこういうことを言われて悔しい思いもしましたしね。自分はそうなりたくないと思っています。

>(補足)
>一方で、あたしの仲間内では
>これらの主張が別種の能力主義に陥っているのではないか、
>という議論がなされたことがございました。
>AS当事者が自らのあり方・生き方を肯定するのに、
>自分たちは『能力が高いんだ』『社会に参加できているんだ』
>『社会の役に立っているんだ』『別の形でできる人間なんだ』
>ということを強調する必要があるんだろうか?
>あるいは、できる・役に立つ・参加できているなんてことに、
>誇りを感じる必要があるんだろうか?と。
>
>「できる」ということの強調,個人的な困難の否定,
>知能検査をはじめとする支援の評価尺度の否定といった主張には、
>その裏返しとして「能力に対する強い憧れ」という側面がない訳でも
>ございません。
>
>この点については、Ryuさんの知っている範囲で、
>議論などはございますか?

僕自身は他人とこういう内容の議論をしたことはありませんが、少し考えを述べてみます。

僕はまず前提として、別に自閉症者が「出来る人間」とか「役に立つ人間」ということを社会に対して主張しないで済むならしないに越したことはないと思います。

また逆に「出来ない」ということで社会に役に立っている場合も多々あると思います。もしみんなが「出来る人」になってしまって超効率的な社会が形成されどんどん文明の発達が加速していったとしたら、人類はこの地球上で他の生命体と共存して暮らしていけなくなると思うからです。つまり「出来ない人」というのはこの人類の文明が自然界からスピンアウトしてどこかに飛んでってしまうのを防ぐための重しみたいな役割も担っていると思うのです。

それから人間は、もしみんなが同じ認知学的特性だったならば、みんな同じようなことばかり考えているわけですから、他人が何を考えているのか考える必要がなくなって他人のことを考えなくなってしまうと思うのです。みんなそれぞれに考え方の違いがあるからこそ、他人に対して興味がわくし腹が立つし可笑しいし悲しいし辛いんだと思います。そのためにも認知学的特性に違いがあるということは必要なことだと思います。

ただ「出来る」ということを主張しなければいけなくなってしまったのは、人間が診断基準という物を作って自分たちに当てはめてしまったからです。本来ならば人類を二分するような診断基準などないに越したことはなかったと思います。

以下のリンクにあるPDFファイルを開いてみてください。

http://submariner-spirit.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_4035.html

自然界にある物は全てこのような分布曲線に従ってバラツキがあると思います。そしてこれは人間の認知学的特性についても例外ではありません。例外であるという方が不自然です。ただ「それでも一応ある程度は同じような考え方をしている生き物だ」として扱えるのは人間が言葉という道具を持っているからです。
本来なら自分で何かを発見できて生活を豊かにすることができる人も居ますが、何も発見できずにそのままの生活を送る人も居ます。しかし人間は言葉を使うことによって他人から知恵や発明を受け継ぎ利用することが出来るので、自分で何も発見できない人でもできる人とある程度同じように振る舞えてしまうのです。言葉を授けることによって行われる今の学校教育は、ほとんどこのためにあると言えます。

言葉は、というか人間の文明は、少数の人達が発明した物を言葉という道具を使って複製し多数の人達で同じように利用できるようにするためのものであると言えます。つまり本来は認知学的にバラツキがある人間がみんな同じように暮らせるようにするために言葉を使い始めました。

それなのに人間は、その言葉によって成り立った科学によって、今度は逆に自分たちを分断する基準を作ってみんなが同じように暮らせないようなシステムを作ろうとしているのです。または認知学的に違う人達と同じように暮らすことを放棄して、少数派を作り替え多数派に合わせようとしているのです。つまり分布曲線をまっすぐな一本の棒に書き換えようとしているのです。

でも自然界の物は全て、この分布曲線に従っていなければなりません。分布曲線に従ってばらついているからこそ種としてのバランスが取れ生態系を維持しているからです。自然界で人間だけが例外であるということは考えられません。一見同じように見えていたのは、それは言葉によって違いが覆い隠されていたからに過ぎないのです。

認知学的特性が違う者達が同じように暮らせるようにするために言葉を使った人間が、今度は自分達を分断して同じように暮らせないようにするために言葉をつかう。または自分達を窮屈にして作り替えようとしている。ここに文明の自己矛盾があると思うのです。

僕はこのバカバカしい自己矛盾を打ち消すために主張しているんです。分布曲線上にいる一人の人間として、言葉を武器として使うのではなく便利な道具として使うべきだと言っています。

まとまりがなくてごめんなさい。能力主義に陥っているのかどうかは明確に答えられなかったかもしれませんが、POLINECIAさんの問いに対するお答えになったでしょうか?

Ryu

[#21824] Re:POLINECIAさんへ(訂正)
 POLINECIA  - 07/9/2(日) 18:01 -

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   丁寧なご回答ありがとうございました。
アメリカの当事者団体の主張だけでなく、
Ryuさん自身の生のご意見も伺えて非常に有意義でした。

テーマを対話形式とRyuさん自身の特性に対する持論に分けて
レスしてまいりたいと思います。

1.対話形式

▼Ryuさん:

>ただこの掲示板を見ていると、例えば「自分でも何を言っているか分かっていな
>い自閉症者の言うことは聞くに足りない」「当事者よりも専門知識を持った専門
>家の方が当事者のことをよく分かっている」とでも言わんばかりの発言(ちょっ
>と極端に書いています)も過去にあったような記憶があるので、少しは権威の衣
>も身につけなければ話も聞いてもらいにくいのかな、と思っています。

時々、この掲示板でトラブルになったスレッドが
どんな論理空間に支配されているのかを自分なりに分析しておりますが、
そのような側面もあると認識してございます。

・当事者の発言を生身の声として受け止めず、
「認知に歪みないし偏りがあるからだ」と歯牙にもかけない言説。

・支援の有資格者の見解を絶対視するような言説

は少なからずございますね。(イチイチ証拠は挙げていきませんが)

ニキ・リンコさんの単著
(『自閉っ子、深読みしなけりゃうまくいく』)では
アメリカではこの状況がさらに深刻と伺っております。
Ryuさんが紹介しておられるANIの言説活動というのも
専門家主義パターナリズム,生の管理の打破
(支援者や保護者が当事者の生き方,価値観までも決定することへの抵抗)
当事者が支援諸科学に縛られず自らの世界観を自由に語る空間の確保
といった出発点があると認識してございます。

しかし、だからこそ、
支援者,保護者などの非専門家批判
(専門家ではない者が好き勝手に語っている)
に付き合って、「自分にはこういう経歴や肩書きがある」
と強調する必要はないとも思うのですよ。
むしろ相手の世界の価値観(専門家主義)に巻き込まれてしまい、
本来の当事者の語りの意義が失われてしまうのではないか、と。

>だからそういう意味では、臨床経験や他の当事者との関わりも自分を客観視する
>いい材料にはなると思います。

これについては異存ございません。
相手の言っていることを批判的に論じる場合でも、
相手の議論を徹底して知り尽くすことは大切だと思うので。

>言葉に表される部分というのは意識のほんの一部であり、必ずしも言葉にした内
>容が意識全体を言い表しているとは言えない。だからどのような集団の主張も、
>その集団の意識で把握しているものの一面しか表していない。

どちらかと言えば、類は友を呼ぶという話だと思ってください。
臨床家さんであれば自分の得意領域があって、
その結果としてたまたまその臨床家の周りに集まる当事者さんは
非常によく似た共通点を持っているという場合もございます。
当事者グループであっても、
ウェブ・サイトでグループの方針を示しておけば、
その方針に共鳴するような当事者さんが多く集まります。
従って臨床家の説明であれ、当事者の語りであれ、
いくら数多くの当事者と関わっているとは言っても
全体像を理解するには至らないという話でございます。
あたしの身の周りにいる当事者さんの中にも、
「別に支援諸科学で発達障害についてどんな事実が明らかにされ
提言されていたとしても、
俺がそれに従わなければならない理由はない。」
(ヴィトゲンシュタイン風に言うと
「科学的事実はいかなる行動原理にはなりえない」)
という手合いが多うございます。
しかし、だからと言ってAS当事者がそういう奴ばかりとも
限らない訳です。

2.Ryuさんの持論について


>僕はまず前提として、別に自閉症者が「出来る人間」とか「役に立つ人間」とい
>うことを社会に対して主張しないで済むならしないに越したことはないと思いま
>す。

Ryuさん自身がそういう観点を持っていることを知り、
非常にうれしく思います。

「アスペルガー当事者は有能だ」
という言説の出所はハンス・アスペルガーにあると言われます。
ナチス政権下のドイツで臨床家として活動していた
H・アスペルガーはナチスによる障害者安楽死計画
(10万人の障害者が犠牲になりました)が進行する中で、
自らが担当していた子どもたちが迫害されるのを恐れ、
彼らが有能で国家の役に立つことを強調したと言われています。
しかし、ナチスから「有能ではない」
とみなされた障害者10万人はやはり殺されてしまいました。
また、あたしが掴んでいる情報では、
日本の省庁でもAS当事者の就労を支援の取り組みは
それなりに始まっているのですが、
その理由は「『軽度』であり、『重度』よりも就労が実現しやすそうだから」
というもの。
悪く言えば、就労の実現が難しいと見なされた当事者たちは
苦難の道を歩むことになりそうです。

当事者の所得保障の実現、迫害のリスクを防ぐという意味で
「能力の高さ」を強調するという戦略は
極限下では必要なのかもしれません。
しかし、当事者自身が自らそれを信仰してしまう事態は
あまり好ましいものではないかもしれないと考えてございます。
(どうやら、Ryuさんは信仰しておられないようですね。)
能力・役に立つ・適応できているといった価値観
に当事者が囚われすぎないようになることも、
一つの課題とは言えるでしょう。

認知特性に関するお話は非常に面白く
拝聴させていただきました。
学問によって学問に対抗するという戦略。
今回の件に見られるように水掛論に巻き込まれるリスクは高う
ございます。
(あなたには臨床経験があるのか、
学会で認められているのか、
専門家であり、有資格者なのかと言った専門家主義的議論に)
しかし、是非とも深めていってくださいな。

当事者の語りの世界に正答も誤答もございません。
それが学問的な方法でなかったとしても、
どこまで常識を疑い、問題を抉り出し、
とことん突き詰めて考えることができたかといったことに
価値がございます。
守ることは人に語る時の対話のルールぐらい。。。

ご健闘を祈ります。

[#21826] 質問について
 秋桜(管理人) メールホームページ  - 07/9/2(日) 18:51 -

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   POLINECIAさん
こんにちは。ここ数日旅行に出かけていたのでお返事が遅くなりました。

>大まかな話は終わっているので、
>コメントするかどうか迷いましたが1点だけ。。。

はい。できたら新しいスレッドにしていただけるとありがたいです。またRyuさんと議論したいのでしたら直接メールをして下さい。

質問の件ですが、私が今回の書き込みでなぜあのようなことを書いたかいうとRyuさんが

>発達障害関係の研究をしています。

と書かれていたからです。

今年の初め頃同じように「発達障害の研究をしている」というフリッツ藤井さんという人がいて、この掲示板で問題になりました。「彼は一体どういうつもりで書き込みをしているのか」「あの書き込みで傷ついた」「本当に研究者なのか」といった相談や問い合わせのメールをいただきました。

彼は個人的に発達障害についてあれこれ考察していた人で、専門的な勉強や資格を持っていたわけではなかったのです。でも「研究している」ということで彼は専門家だと思ってしまった人もいたようです。

そういう人が専門家だと思って個人情報を詳しく書いてしまったり、相談してその通りにしたらトラブルに発展してしまうことがあるでしょう。

実際状況は違いますが、ある理論を信用してその通りにしたら事故などにつながってしまったケースというのもあるのです。

この掲示板には様々な立場の方が参加しています。ですからRyuさんに確認しました。

私が神経質なのかもしれませんが、研究している、専門の仕事をしていると書き込むからには研究や仕事に倫理的な責任を伴うと考えていますし、そう書かれた方にはそれなりのレベルを求めます。

当事者として色々意見交換するのはとてもいいことだと思っています。

[#21827] Re:質問について
 POLINECIA  - 07/9/2(日) 20:38 -

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   ご説明ありがとうございます。

▼秋桜(管理人)さん:

>はい。できたら新しいスレッドにしていただけるとありがたいです。
>またRyuさんと議論したいのでしたら直接メールをして下さい。

では仰せの通り、
スレッドを移動するといたしましょう。

Ryuさんとの議論は今のところ、
考えてございません。
あくまで、障害者文化に属するような言説の
この掲示板での取り扱いはどうなっているのかというのが、
質問の主旨だからでございます。
Ryuさんが丁寧な回答をしてくださったので、
こちらからも丁寧にレスいたしましたが、
本人は討論は好きではないと仰っているので、
特に続けるつもりはございません。

[#21855] Re:POLINECIAさんへ
 Ryu メールホームページ  - 07/9/3(月) 21:38 -

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   ▼POLINECIAさん:

スレッドが移ったようですが、POLINECIAさんのメールアドレスも存じませんし、僕の投稿の締めとしてここに返信します。

>1.対話形式
>
>しかし、だからこそ、
>支援者,保護者などの非専門家批判
>(専門家ではない者が好き勝手に語っている)
>に付き合って、「自分にはこういう経歴や肩書きがある」
>と強調する必要はないとも思うのですよ。
>むしろ相手の世界の価値観(専門家主義)に巻き込まれてしまい、
>本来の当事者の語りの意義が失われてしまうのではないか、と。

ご意見ありがとうございます。
僕が自分の経歴を語ることで他の当事者の方が発言しにくくなってしまうことがあるかもしれないですけど、僕自信はは専門家主義に巻き込まれることはないと思います。何故なら僕には専門家と同列に考えられない要素も多く、例え専門家の肩書きを持ったところで当事者としてのスタンスは失われないからです。

例えば僕は本があまり読めないので、言っていることのほとんどは僕が自分で考えついたオリジナルの内容です。他の多くの専門家と違って中学もまともに行っていないし高校へも行っていません。確かに現在ならLDの生徒向けの大学プログラムも海外にありますから、そういうところで勉強して普通に専門家を目指す道もあるかもしれません。でも僕はあえてそういうことをしようと思わないのです。

それは何故かといったら、自分自身で自閉症本来の特性を体現するためです。アナログ思考の自閉症は、本来なら文字や言葉から学問を修得するのではなく、自分の体験から自然現象や社会現象のしくみを習得する方が得意なのです。小さな子供が落下という現象自体を重力加速度やニュートンのリンゴの話を聞く以前に理解するように、自閉症の人は実際の現象から学ぶ方が得意なのです。普通の人は学校へ行って専門的なことを勉強しなければ学問は分かるようにはならないと思っているようですが、自閉症者にとってはむしろ何でも言葉で教えようとするから分からなくなるのです。それをみんなに分かってもらうために、僕はあえて専門家の資格や肩書きを得るために言葉を使って物事を理解しようと思わないのです。

そしてそれは、資格や肩書きを見るとすぐに信じてしまい、その言説の中身を自分で疑ってみようとしない人達に対する啓発でもあります。裸の王様の透明な権威の衣を信じ、自分の目で目の前のことを見ようとしない、または自分の心の中の声を聞こうとしない人達に対する一声です。これはもしかしたらPOLINECIAさんの仰る専門家主義や権威主義に対する批判にもなるかもしれません。その際声を上げるのは、同じような権威の衣を着ている人達ではなく無垢な少年の方が効果があるからです。(僕は少年といえるような歳ではありませんが。)


>2.Ryuさんの持論について

>しかし、当事者自身が自らそれを信仰してしまう事態は
>あまり好ましいものではないかもしれないと考えてございます。
>(どうやら、Ryuさんは信仰しておられないようですね。)
>能力・役に立つ・適応できているといった価値観
>に当事者が囚われすぎないようになることも、
>一つの課題とは言えるでしょう。

社会的な価値観に当事者が囚われすぎないように、というのはごもっともだと思います。僕は自閉症者全てが社会的に認められるような能力があるとは思っていませんが、人間としての能力ならば皆が同じように持っていると思います。自閉症者でも普通の人でも、社会的に認められる能力を発揮できるのは、分布曲線状でデジタルとアナログの特性がほどよくバランスの取れた一握りの人達だと思います。しかしそれは時代によって診断基準が移り変わるように、社会で求められる能力もいつも同じとは限らないので、何をもって社会的能力というのかを考える必要もありますね。

>ご健闘を祈ります。

お付き合いいただき、ありがとうございました。


それからもう一つ最後に見ている方に言っておきますが、この投稿の最初のテーマである'It is not a disease, it is a way of life'という主張は、別に当事者文化の中だけで言われていることでもなく、明言している専門家の方も沢山います。

例えばこのオーストラリアの精神科医も有名な方ですが、トップページの右側でアスペルガー症候群は障害ではなく違いだとはっきり言っています。

http://www.tonyattwood.com.au/index.html

要は、特性を障害と受け取ってしまうか違いと受け取るかはその人と関わるそれぞれの人の捉え方によるのです。

Ryu

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