|
こんにちは、ali,forever!です。
みなさんからの書き込みが無いので、先ずは
私から。
沢木耕太郎の「深夜特急」という、わりに売れた
紀行文の中から一つ。
著者の沢木が香港の安宿に泊まっていると、
そこの粗末なホテルを遊び場にしていたか何かの、
小さな女の子が彼になついて、しょっちゅう部屋に
遊びにくるようになった。ある日のこと、その子が
彼の部屋に紙とボールペンをもって入って来て、
数字の1から10までを書いて見せ、彼にも
同じ事をするように、身振りでさかんに示す。
最初は何の事か分からなかった沢木も、
それが一種の筆跡占いみたいな物であることが
分かり、小さな子の遊びにつきあってやる程度の、
軽い気持ちで自分も1から10まで書いて、
その子にみせた。
しばらくの間、沢木が書いた数字の羅列を
小さな子特有の悲しい程の集中力をうかがわせる
表情で見つめていたその子は、その数字が書かれた
紙の余白に「孤寒」と書いて沢木に見せた。
私は中国語は分かりませんが、その、孤独の「孤」と、
寒いと言う時に使う「寒」、と言う字の組み合わせを
見せられた時は、まるで自分の事の様に苦しげな
呻き声をつぶやいてしまいました。
|
|