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▼nemoさん:
autosの字源は、ギリシァ語かラテン語でしょうが、「自」を意味しても、「閉」の含意があるのかは、私も疑問です。
早期幼児自閉症をカナーが記載したのは、1943年です。
精神医学事典(弘文堂)での笠原嘉氏の解説によると、autismus(独)の語をカナーは、ブロイラー(1857〜1937)の用語から転用しているそうです。
ブロイラーは、早発性痴呆症の研究から「精神分裂病」の呼称を提唱した、クレペリンと並ぶ精神医学者です。ブロイラーが分裂病論の中でautismusという語を最初に使用したのは、1911年のようです。
当時は、分裂病の病態表現のひとつとして、autismusが用いられたのでしょう。
憶測でしかありませんが、ブロイラーと同世代でもある、呉秀三あたりの日本の草創期の精神医学者がヨーロッパの先進的な医学業績や専門文献を輸入翻訳していく過程で、autismusに「自閉」という訳語を当てて紹介したようなことに発しているのではなかろうか、と思いました。
つまりカナーが論文を発表する以前に、日本では既に精神医学者の間では、autismus = 自閉(症)という用語が存在していた可能性があるのではないのか、ということです。
あくまでも、私の興味本位で個人的な憶測であり、確認のとれた情報ではありませんので、その旨、了解ください。
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