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最近掲示板でも診断について盛り上がっていますが、発達障害関係の医療現場で働いている者としてコメントさせてもらいます。あくまでもこれは子どもの場合ですし、私が行っている関わり方ですが、参考になれば嬉しいです。
皆さんもご承知の通り、発達障害の診断は非常に難しいです。同じ患者さんについても医者によっては異なる診断を下すことは日常茶飯事です。また、成長につれて障害像が変化したために、診断名が変化することもあります。
私の場合を例に挙げると4歳近くまで発話がなかったので、最初は自閉症という診断だったと思うのですが、就学前には言語を獲得して正常知能になっていたのでアスペルガーという診断に変化していたと考えられます(もっとも、当時はアスペルガーと考え方がなかったので、高機能自閉という言われ方をしていましたが)。
私が勤務している病院(発達障害児専門の訓練施設)でも、ドクターはまず初診時の印象で診断名を出し、訓練者にオーダーを出すのですが、必ずしも正確に障害像を把握しているわけではありません。場合によっては訓練者が出した報告書によって診断名を変えることもあります。
訓練者も1,2回の評価面接では本人の状況を把握できないことも多く、1回目で大まかな知的評価と認知能力の偏りを把握し、2回目でさらに細かく評価していきます。だから1回目で「この子はLDとADHDの合併かしら?」と思っても2回目で「自閉もある?」となる場合も多いです。特に初回は患者さんも緊張しているので普段の状態が出せないため、親御さんからも日常について聞き取りを行いながら観察していきます。
子どもの場合は5,6歳になるとサリー・アン課題といった相手の状況を考えるといった練習も取り入れていきますが、どれだけ相手の立場になって考えられるかも指標にしていきます。高機能自閉やアスペルガータイプのお子さんの場合、「そりゃあないだろう」と思わず突っ込みたくなるような回答が出てきたりするので、それも診断の参考にしていきます。
ただし小学校中学年になってくるとそれなりに正解が分かってきます。でも正解にするのを嫌がって変な言い訳をするので、その辺りが診断の鍵になります。言い訳等の行動がトラブルの元になりやすいので、訓練ではソーシャル・スキル・トレーニングの割合を増やしていきます。それと同時に自己管理の練習なども始めます。この辺から親にも自立について考えさせ、自分たちでできるように指導しながら次第に訓練間隔をあけて長期フォロー→終了(一応何かあったらドクターに連絡するよう伝えています)という形にしています。
この時期は自分の障害についても疑問を感じることが多いので、診断名をはっきり告げないまでも(日本の法律では一応診断を下すのは医師ということになっているので)、何のために訓練をしているか、どうやったら人とコミュニケーションを取れるようになるか、そのためにはどういうことを気を付けなくてはいけないかということを話し合い、自己評価と他人の評価のずれを確認・修正していく練習を行います。
診断と訓練が一緒に書いてありますが、医療の場合訓練というのは薬と同じく処方という考え方なので、セットになっています。ただし自閉症とはっきり分からない場合は最近は広汎性発達障害(=自閉症スペクトラム障害)で曖昧にしているケースも多いです。
大人の場合は環境因子も加わるので、さらに診断が難しくなるとは思います。精神疾患との区別もつきづらいですし。最近精神科のドクターでも「向精神薬が効きづらい場合は発達障害の可能性が高い」と主張する人が増えてきましたが、まだまだ少数派だと思います。
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