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情報提供およびご意見に感謝したい。
御礼に少しだけ、俺の知っている法案や支援の見方を紹介しておこう。
特に賛成する必要はない。
こういう見方もあるのだということだけを伝われば今は十分だ。
(専門家、専門職員増員の要望について)
>ところが、私の同僚でADHDのお子さんを持っている方の話を
>聞くと、国立精神・神経センターでの療育はなされていないそうです。
>現段階で、国は、医師が不足して、療育・支援できない、としています。
(中略)
>現在の児童相談所の職員では、発達障害者全てに対して、対応ができない
>からです。
これはよく発達障害専門家サイドから専門家の増員,養成という形で、
よく要望が出されている。
確かに児童精神科医あたりは不足しているというのは事実だろう。
この辺りの事情は俺も少しわかっている。
一方でこの要望が専門家サイドの自己増殖のために利用されることもある。
例えば、専門家を増員することによって後進の雇用を確保したい場合や、
専門家を養成するためのセミナーを開いて資金稼ぎをしたい場合などだ。
この場合、専門家サイドは
「専門家が足りていない」「専門家を育成すべきだ」
「専門家,あるいは専門的知識を有する者でなければ、この問題に対処することはできない」
と声を大にして主張しておいた方が得をするだろう。
じっさい、俺が発達障害で利潤を得ようと思った場合、
やはりそのように主張する可能性が限りなく高い。
(誤解がないように言っておくと、ここでその手口を明かしてしまった以上、
俺自身はこの手口で金もうけをすることはできない。
もうけるためには裏の意図を隠して沈黙しなければならないからだ)
発達障害支援者も食っていかなければならない以上、プロ化が全く悪いとは言えない。
しかし、最悪の事態も想定しておく必要がある。
例えば発達障害者に対応できる職員の雇用,施設の増設,
専門家育成のためのセミナーに莫大な予算を費やした結果、
発達障害者及びその家族を直接支援することに予算が回せなくなってしまう場合だ。
この場合、支援法案は専門家サイドの利益にしかならなくなる。
発達障害者,発達障害者家族,職業的支援者,専門家は協力者であると共に
異なる利害を抱えており、その利害は決して一枚岩ではない。
これは決して悪いことではなく、むしろそのことを自覚的に捉えておくことの方が大切だ。
そして、これらの四者の間で綿密に利害調整を行っておくことを提言しておこう。
ちなみに、国連が教育について提言を行ったサマランカ宣言(1994)では、
(はじめに)の部分に以下のような内容が盛り込まれている。
>障害をもつすべての人びとは、確かめうるかぎり、彼らの教育に関する願望を表明する
>権利をもっている。両親は、彼らの子どもたちのニーズ、状況、熱望に最適の教育形態
>について相談を受ける固有の権利をもっている。
http://www.dove.ne.jp/sumomo/siryou_folder/Salamanca.html
最高決定者はあくまで「障害児」とされている。
利害調整の際に発達障害児が望むことが何であるのかよく耳を傾けることを切望する。
>これが、いわゆる「犯罪防止」なのか、支援なのか、表立って公表される
>ことはないと思いますが・・・。関係者だけが知っていることではないかと
>私は、「支援」に重点が置かれることを願っていますが。
ジョンさんからいただいた情報を鑑みる限り、
教育,医学,就労(職業訓練,ジョブコーチなど指導中心)など、
「発達障害児・者の社会順化」に大きなウェイトが置かれているのだろう。
このタイプの支援は「支援」と「治安維持」の目的が明確には区別できなくなり、
「支援」と「治安維持」が表裏一体をなすことも多い。
複雑な判断を必要とされる支援の形態だが、
そこから次なる発達障害支援のあり方を考えていっていただきたいと思う。
今回の支援法はあくまで出発点だというのが俺の考えだ。
(PS)
参考までに求める支援としてどんな内容があるのかを挙げておこう。
考えうる支援は発達障害支援法案で扱われている内容よりもはるかに広い。
http://www.jfd.or.jp/int/ida/misc/2003-03-02-ida-statement-2adhoc.html
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