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おっと、もう一点忘れるところだった。
▼みーぽんさん:
>>発達障害者とその家族,職業的支援者(秋桜さんのような立場の人だな),
>>専門家は協力者であるとともに利害が1枚岩ではないとコメントした。
>>正確には「1枚岩ではない場合もある」と言った方が正確かもしれない。
>この理論に関してはおっしゃるとおりだと私も思います。
>たしかに、利益という面から純粋に見れば。
>ただ、実際の現場では違っていると思いますよ。
俺がこの件についてこだわるのは以下のような事件があったからだ。
(元ネタが毎日新聞HPから削除されているんで、一部引用で失礼する。
プライバシー保護のため、一部実名を伏せる)
>養育の悩みから自閉症の長男(当時14歳)を殺して殺人罪に問
>われた神戸市北区道場町生野、元新聞販売店従業員、T被告に対し、
>神戸地裁は15日、懲役3年、
>執行猶予5年(求刑懲役6年)を言い渡した。笹野明義裁判長は、
>情状酌量で「できる限りの世話を長年続けるなど同情できる点が
>多い」と述べた。T被告の友人や医療関係者、障害者団体などから
>、刑の減軽を求める嘆願書約2万人分が集まっていた。
>[毎日新聞5月16日] ( 2003-05-16-00:57 )
この手の事件は他にもあるのだが
「医療関係者、障害者団体などから、刑の減軽を求める嘆願書約2万人分」
というところにご注目いただきたい。
俺は某支援団体に自閉本人,自閉児の家族,
ボランティアという複雑な立場で所属していたから、
当然俺の元にも嘆願書への署名願いが送られてきた。
この保護者がとても気の毒だと思ったが、署名はしなかった。
殺した子供が自閉児だったら減刑されるという話にはついていけなかったからだ。
そして、2万人もの専門家,支援者,家族が自閉児の立場には立てず、
家族の立場で動かざるを得ない現実があった。
そして、新聞記事の最後にはこう記されている。
>弁護人は「被告の子どもへの愛情を理解した判決で評価できる」
>と話した。
この記事はその後も度々自閉児の家族の支援を訴えるために、
利用されている。
確かに支援を必要としている自閉児家族が多いことは間違いないだろう。
しかし、この記事からは自閉児と家族もまた
異なる利害を抱えているという事実が看過されている。
あるいは自分の障害を自覚している自閉児・者がこの事件を知ったら、
どんな反応をするかといったことについても触れられていない。
俺が四者の利害を混同してはならないと言っているのはそういう意味もある。
で、俺が今の法案について見直しが必要だと考えているポイントは1つ。
結論から言えば、
支援法には「発達障害児に対する差別禁止条項」
を今よりも具体的に設けておく必要があると考える。
それは単純に発達障害児に対する体罰,虐待の禁止だけではなく、
療育のような本人の自由を制限する可能性のある支援についても、
何をやってよく何をやってはならないのかを
明確に規定しておいた方がいいだろう。
もちろん言葉のない発達障害児・者もいて、
こんなことを要求できない場合が多いことは重々承知しているが、
「差別禁止条項」はむしろそういう発達障害児・者にこそ必要と言える。
以上だ。
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