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アスペルガー症候群の診断を受けていますが、一度だけ、
幻聴の経験があります。抗不安薬をはじめて飲んだときのことです。
慢性的な過緊張状態が突然とけたために、ドーパミンか何か?の
バランスが崩れたのだとおもいます。入眠用に飲んだ翌日、
ひどいうつ状態と同時に幻聴を聞いたのです(薬そのものの作用では
ないでしょう、デパスの効用は3時間ほどで切れるはずなので)。
そのときは、現実のものではない、自分はその場に一人しかない、
とはっきり理解していたので、何もせず、回復するまで布団で
寝てました。自分の不安や、それに大して思ったことがそのまま、
知らない人の声で聞こえたり、哄笑じみた笑い声が聞こえたり。
頭ががんがんした、と思うと、それが人の声に変わるのです。
文字通りに。へー、幻聴ってこういうものなのね、という感想でした。
私は知覚過敏の症状が顕著なため、常日頃、聴覚世界に強く頼って
生きているからかもしれません。「これは聞こえているように思える
けど、本当の感覚じゃない」と、はっきりとわかったのです。
だから、不必要に不安を感じることもありませんでした。
自閉症というのは、感覚を取り込む過程での障害であり
、それによる、情報を処理する回路や、心の発達の遅れです。
一方、統合失調症は、心がある程度発達した後で発症する、
世界を解釈する回路が「そこにある」世界から離れて機能してしまう
疾患であるように思います。自閉症が世界から離れて社会へいたる
ことが難しいのに対し、統合失調症は、社会に適応した自我が世界
から離れて暴走してしまう状態です。
両者は、ベクトル的には真逆であるのではないでしょうか。
社会的な自我の発達が遅れており、生の感覚世界に強く縛り付けられた
状態にある、自閉症的な人間が、感覚世界から離れることは
非常に難しいと思います。
しかし、自我を形成する『回路』が形成された後で、
似たような症状に至ることはあるのかもしれません。
上手く機能しはじめた時、そこでエラーが生じる可能性がないとは
言い切れないと思います。
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