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アスペルガー当事者の会社員、笛と申します。
私は診断を受けた医療機関で、主に成人発達障害者向のコミュニケーション・トレーニングを受講しました。
そこで毎回目からウロコが落ちるような思いをいたしました。
(おそらく、非発達障害者をターゲットとしたコミュニケーションのハウ・ツー本とはかなり違った内容であると考えます。
なぜならば、定型発達の方々には「生まれつき」「無意識」にわかる事が、発達障害者にはわからない場合が多いためです。)
詳しく内容を書くことは、カウンセラーの先生の許可を頂く必要があると思われますのでここでは触れませんが、
もしもレモリアさんが興味をお持ちでしたら、自閉症スペクトラム圏内にいる方々のためのコミュニケーションのトレーニングを受講される意味は大きいと考えます。
自分を含めアスペルガー症候群の方々は、すべてのことに意味を見いだそうとする傾向が強いのではないでしょうか。
私は、世間話=意味のないこと、と考えがちで、参加するのも聞くのも苦手です。
世間話などの日常会話に参加せずに耳を澄ませていると、その内容はいつも同じようなもの(お天気・子供のこと・テレビ・芸能人・スポーツ等々)で、内容そのものに特に意味があるとは思えません。
話す内容が重要なのではなく、会話が途切れないようにすることが重要なようです。
いざ会話に参加する(自分の場合は巻き込まれる場合が多い)段になると、何か意味を見いだそうとすると考えてしまうので時間が長くなり反応は遅くなってしまいます。(どうもそれが会話の相手が一番望んでないことのようです。)
ですから、苦心して会話の内容に興味を持つ努力を止め、相手もそれを期待していない、と割り切るのも手ではないでしょうか。
こう考えると少し気が楽になりませんか?
会話が途切れないように、「へえ」とか「いいですね。」「そうですね。」と反応しておけば良いのですから。
(そうすれば、その会話の内容に適した顔の表情を選択する余裕が生まれるかもしれません。実は私はこれが苦手です。)
または何かこちらが話すことを要望されているような場合は、「ええと・・・」などで、なるべく話の流れが途切れないようにする工夫も必要かもしれません。
幸いにも、私の回りを取り巻く世間の人々は、聞くより話す方が好き、とみえて、あまり困ることはなくなってきましたが。
もしや、仕事など特に話す内容が重視される場面では、あまりお困りではないのではありませんか?(私はそうです。)
それでも、突拍子もなくいきなり本題に入ってしまい注意されることが多いので、話かける前に、話す内容を順序立てて予め頭の中で整理し、必要ならメモに書いて準備するように努めています。
(PCの見やすいところに貼り付けて、それを読んでから話しかけるようにしています。)
私の仕事は簡単な接客を伴うのですが、お客様が何か話しかけて来た場合は、「そうですね・・・(と考えているポーズ)○○さんはいかがですか?」と質問仕返してみたりしています。
(些細なことを話かけてくる方は、お話好きなことが多いので、こちらから質問するとよくお話をしてくださるので、あとは相づちを打つだけで済みます。)
また、お天気のことや季節行事(年末年始・GW・夏期休暇などなど)の前後などは、常套文句としてこちらから話題を振って後は相づちを打つだけです。
スムーズに会話が進んでいるという印象が大切なのであって、実際に会話の内容に興味を持つ必要はないと考えます。
上記以外のケース、(より)親しくなりたいと思う人に対しても、最初は上記のように始めると、とっかかりが出来るかもしれません。
少し親しくなったところで、相手が信頼できるとご自分で判断されたら、障害のことをカミング・アウトしても良い時期かもしれません。
ただ、「障害だから出来ない」ではなく、「こういう障害があって苦手なことがたくさんあるけれど、あなたとはもっと親しくなりたいので、苦手なことを少しずつ出来るようになるために、あなたの力も貸してほしい、助けてほしい」と伝えてみてはいかがでしょうか。
本当にレモリアさんと親しくなりたいと考えている人ならば、アスペルガーのことを知るためにレモリアさんに色々と質問したり、本を読んで情報を得るなりしてくれるのではないでしょうか。
そうすれば、コミュニケーションがうまくいかず、誤解が生じた時も、こちらのしどろもどろの言い訳や事情説明に耳を傾けてくれる可能性も大きくなります。
長くなりましたが、日常生活で私が思うところを書いてみました。
少しでもお役に立てば、と思います。
最後に、発達障害もあまたの精神疾患も、すべて脳の機能がバランスを失っているだけで、心の病気という言葉には日頃から疑問を持っています。
「心」って、どこにあるのでしょう。
「心の病気」という表現は、他の病気に比べて何か特別で不可侵なものという誤った認識を植え付けやすいようで、私は使いません。
例えば、鬱は心が風邪を引いたような状態、という表現を耳にしますが、脳内の主にセロトニンが少なくなって起きる病気、というのが正しいのではないでしょうか。
(このあたり、私のアスペルガー的こだわりですよね。)
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