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2年前にアスペルガー症候群と診断された社会人の笛と申します。
理論的には、聴覚に障害がある場合、自閉的傾向がその障害ににのみ起因するものであるとは考えません。
たしかに自閉症の特徴のひとつに「コミュニケーションの障害」というものがありますが、自閉症者は聴覚過敏など聴覚に問題が有る無しにかかわらずコミュニケーションの障害が見られます。
また、特に五感に過敏・過鈍などが見られない自閉症者もいます。
私の知人に色覚障害を持ったアスペルガー症候群の自閉症者がいます。
人の心を読む脳機能のモジュールとして、「心の理論メカニズム」という説があります。
このメカニズムを機能させるために、意図を検出するID、視線を検出するEDDから情報を取り込み、注意共有のメカニズムSAMを通して心の理論メカニズムToMMが働き、人の心を読むことが可能となる、というモジュールです。
(もしご興味があれば、「心の理論」で検索してみて下さい。)
ウタ・フリスやバロン・コーエンらの研究によると、自閉症の人は注意共有のメカニズムSAMがない、又はSAMに重大な欠陥があるということです。
定型発達の場合、SAMはおおよそ3歳くらいまでに自然に完成するらしいのです。
ちなみに、SAMを機能させるために必要な情報を取り込む2つの検出器の内の片方に障害がある場合(たとえば盲人は視線を検出するEDDはありませんが)でも、SAMは機能します。
アスペルガー症候群などの自閉症はSAMに欠陥があることが原因で、コミュニケーション・社会性・行動などに障害があるのだとすると、
聴覚障害のある人はアスペルガー症候群とはなりえない、という説は正しくないのではないかと私は考えます。
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