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▼マキナさん:
こんにちは、秋桜です。
いつもお世話になっています。
お子さん、きっと不安なんだと思います。恐らく年齢から考えると受験だ、就職だと進路を決めていく時期です。自分はどうしたらいいのか、決めあぐねているのでしょうね。
マキナさんがお考えのように今が受診、告知の時期なんだと思います。「お母さんもどうしたらいいのか分からないから、病院へ行ってどうしたらいいのか相談しようよ」と言ってみてもいいのではないでしょうか。でもきっとお子さんは本心では前から受診したかったんだと思います。恐らく発達障害の自分を認めたい気持ちと、認めたくない気持ちとで揺れているのでしょう。
私自身は告知されたのが6歳という普通ならありえない時期だったので、マキナさんのお子さんとは少し違うのかもしれませんが、やはり「できない自分」を認められず随分苦しみましたし、無理矢理自覚を持つよう迫ってくる母親を疎ましく思いました(マキナさんのように待ってくれる母親ではなかったので)。でもいつかはそういう自分を認めないと先へ進めないんですよね。
マキナさんのご家庭の場合、今後のことを考えるとむしろ告知後のアフターケアが大切になると感じています。こういうことは親子で話すとお互い冷静になれずに口論になると思いますので、ぜひ高校卒業後の進路のことを含めて医師を含めた外部の力を借りてください。職業訓練なども視野に入れて対応を考えた方がいいでしょう。
今は自閉症について分かりやすくかかれた本もあります。告知の際にこういう本を利用してみるのもいいかもしれません。
「自閉症の子どもたち 子どものためのバリアフリーブック―障害を知る本」
話は少し変わりますが、私が指導していたお子さんでも途中から自覚を持った子がいます。小学校へ入るまで自閉症だと分からず、ご家族の方達はかわいがってはいたもののとても苦労されたそうです。私の所へ来たのも他の病院では診断だけで不満に思い、同級生のお母さんから情報を聞いてやってきました。ハイパータイプだったので、近所とのトラブルも絶えず、本人も自分の興味のあることだけを一方的に話している子でした。「きっと幼い頃の私もこうだったんだろうな」と思いながら、社会性の訓練を中心に指導を開始しました。
指導を始めてから2年ほどたったある日、その子はお母さんに「どうして僕は秋桜先生の所へ行っているの?行かなくちゃいけないの?」と聞いたそうです。以前から私と対応を話し合っていたお母さんは落ち着いて「お母さんは行ってほしいと思っているけど、〜君はどう思うの?」と聞いてみたそうです。すると「秋桜先生はとても厳しいしよく注意もされるけど、その通りにしているとみんなと仲良くできるし、先生からも褒められるよ」と言ったそうです。そこでお母さんは「先生の所へ行かなくてもそうできるかな?」と聞いたら、「いけないことをした時、後で言われるといけないって気付くけど、今はまだ難しい。やっぱり僕は秋桜先生と勉強する」と答えたそうです。お母さんも「そうだよね。〜君はそういう勉強を秋桜先生としているんだよね。一緒にがんばろうね」と言ったらとても落ち着いたそうです。私の所へ来た時の態度も明らかに変わり、自分の問題と正面から向き合うようになりました。明らかな告知ではなくても、自分の問題に気付くことで変わるケースもあると実感したできごとです。
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