|
▼アリステイデスさん:
こんにちは。レスをありがとうございます。
> 植村英晴「聴覚障害者福祉・教育と手話通訳」という本を読んでいたら、
>「聴覚障害者が誤りやすい表現」として、いくつかの事例が列挙されている
>のですが、その中に、実際は「全部」を意味する「一切」を、「ひときれ」
>だから「10分の1」の意味だと解釈したり、慣用句の「道草を食う」を
>「道の草を食べる」の意味に解釈する等の事例が紹介されています。
>
> アスペの場合の「想像力の障害のせいで言葉を文字通りに解釈する」
>ことに、よく似ていると思いました。
アリステイデスさんがおっしゃるような細かい内容の取り違いは、会話の中で実際に使っている様子が分かりにくいために耳で聞いて学習する経験が少なくなるために生じることだろうと思われます。
私が関わってきた聴覚障害の人も雑誌などでよく目にする表現などは知っているのですが、それ以外の言葉は日常生活ではよく聞くものでも知らなかったり、意味を取り違えていることがありました。
だから微妙な所での言葉の使い方(専門用語では語用と言います)が異なるのかな、と感じたことがありました。そういう意味ではアスペルガーの人に似ている面はあると思います。
> 「アスペかどうかの判定は難しい。社会性の障害、コミュニケーションの
>障害、想像力の障害という3種類の障害に全部当てはまるように見えても、
>実際にアスペとは限らない」ようですが、それは上に書いたような場合の
>存在が考慮されているのかな?
> 「簡単に判定できる性格のものではない」と一応は知っていましたが、
>アスペの診断の複雑さを初めて見たような気がします。
そうですね。診断基準には明確には書かれていませんが、臨床現場ではよく知られている社会性に問題が出やすい障害というのはいくつかあります。
例えば聴覚障害以外にも先天性の水頭症、脳性麻痺(特に四肢麻痺タイプ)、二分脊椎、脳室周囲白室軟化症(PVL)といった診断があるお子さんは社会性に問題があるケースを比較的よく見かけます。知的に高いケースの場合よくおしゃべりをするので一見問題が無いようにみられてしまうのですが、よく注意してみると一方的だったり、抽象的な内容を理解しづらかったり、視知覚認知に問題があるといった傾向があり、その結果として社会性に問題が出てくるのです。
もちろん自閉症を合併しているケースもあるのですが、多くの場合は経験の偏りによって社会性に問題が出てくるタイプで、適切に対応すれば自閉症のお子さんよりも効果は早く出てきます。しかしこういうケースは「よく話せているから」という理由で言語訓練のオーダーから外れてしまうことが多いようです。そして二次障害を起こしてから親御さんが慌てる、ということもあるようです。
私が以前働いていた職場では医師や他職種の訓練士がよく気を付けてくれていたという事もあり、わりと早期からオーダーが出ていたのですが、やればやるほど「違う面もあるけど、社会性については自閉症やアスペルガーに似ている面があるなぁ」と感じていました。
だから本当にたくさんの人にこのようなケースがあることをもっと知ってほしいと思っています。
|
|