|
▼にゃおにゃおさん:
>社会における権利と義務についてどう思うか、
>自分の意見を述べるという宿題が出たんです。
>
>生活をしていく上でのマナー、決まりを具体的に指摘して、
>その上で、権利と義務の関係を考えていくというプロセスだったのですが、
>いまいち.Jrには理解できていないみたいなのです。
>
>一般化が苦手な子供は、
>抽象的な、形のない思想のようなものを
>どのように学んでいくのが効果的なのでしょうか。
「抽象的な、形のない思想のようなもの」というよりも、「小学校で出される、総合学習的な課題」についての対策(になるかもしれないこと)を書きます。
「子供向け学習漫画」・「各種作文コンクール入賞作品集」・「児童文学」といったところが、資料として役立つかもしれません。
ここからは、横道にそれる内容となります。
この宿題のプロセスに、私は次のような疑問を持っています。
1 権利・義務は本来、「法的概念」です。このプロセスは、道徳・倫理などの「規範」と権利・義務関係を混同しているものなのでは?
2 「権利と義務の関係」という言葉が使われていますが、「権利と義務とが付随関係にある」と決め付けているのでしょうか?
人に帰属している権利と義務は、「それらが一体化の関係にある」のではありません。「対応の関係にある」ものです。
例1 売主Aと買主Bの間で、物の売買契約を結んだ場合;
売主Aは買主Bに対して「金払え」と主張する権利が生じます。買主Bは売主Aに対して「物を引き渡せ」と主張する権利が生じます。
そして、それらに対応するものとして、買主Bには「お金を払う義務」が生じます。売主Aには「物を引き渡す義務」が生じます。
例2 銀行でお金を借りる場合;
貸主である銀行には、弁済期に、「お金を返せ」と主張する権利があります。借主には、弁済期に、「お金を返さなければならない義務」があります。
しかし、この金銭消費貸借契約上においては、貸主には義務はなく借主には権利はありません。
2つの例で示したように、権利と義務は「相手との関係において存在するもの」です。
「権利には義務が伴う」などという言葉は、誤用です。
というより、権力者が他人の権力行使を妨害する際に意図的に使っているのでは……と私は勘ぐっています。
こういう場合、私利を権利と、義理を義務と言い換えているかもしれません。
この宿題で「著作権」が頭に浮かんだ子どもが、混乱しているのではないんだろうか……と、余計な心配をしてしまいました。
|
|