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ごていねいなお返事をありがとうございます。
更に一当事者の意見ですが、お伝えしたいと思いました。
少数派のアスペルガー症候群の中でも更に少数派の考えかもしれませんので、初めにお断りしておきます。
アスペルガーの脳は「楽しかったこと」「苦しかったこと」などというように物事を概念化して整理することに困難があるようです。
私の場合は、天然色のビデオの再生画像を見ているように物事を思い出します。匂いや空気すら感じます。自分がその場にいるような感覚です。楽しいとか苦しいとか、そういう感情抜きで。
主治医とも先日お話したのですが、自閉症の脳には定型発達の脳と同じような時間軸が存在しないのではないかということでした。
体験したそのままがどんどん積み重なっていくようなもので、ある時突然それが再生されることがあります。
傍観者という立場ではなく、何度でもその体験を繰り返す、というような感覚です。
ですから、つらいことがあったとしても、それを楽しい事で塗り替えるというのは、自分としては想像できないのです。
自閉症の子供は小さな頃から大人になってもずっとそのような脳を持ち続けます。それ以外の所謂定型発達の「忘れる事が出来る脳」を経験することはないのですから、
ある意味では定型発達の方が考えるほどには不幸なことではないのかもしれません。
ただ、このような脳が原因と考えられる当事者にとり生活しにくい心身的症状は、薬物療法でかなり緩和することが可能です。
小さな子供はいつかは大人になり親の手を離れます。ひとりで生活していく必要があります。
親御さんがお子さんにしてあげられる一番重要で偉大なことは、そのための力を本人が身につけることが出来るようにすることではないでしょうか。色々な方法があると思います。
そういう意味では私の両親は、世間一般的には非常に問題のある親ではありましたが、それぞれが懸命に生き、余裕がないながらも私のような育てにくい子供を養ない、
結局私は医師や薬やその他の助けも得ながらなんとか生活しているわけですから、アスペルガー症候群の子供を立派に育てたのだと、私は感謝しています。
父は今でもアスペルガー症候群を理解しようとしませんし、自分の娘が障害者であるわけがないと怒り狂いますが。
支援とは、助ける・助けられるということ以前に、矯正するばかりではなく、ある程度そのまま放っておく、というのも選択肢の一つになればよいと思っています。
そういう意味での「理解」を、私は望みます。
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