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▼ssさん
はじめまして。
他の方への返信も少し読ませてもらって、ssさんの特徴が僕と似ているなと思っています。ちなみに僕自身も昨年アスペルガー症候群の診断をもらっています。
他人の考えていることが分かるというか、分かりすぎてしまってそれが刺激になることも多いです。まあそのおかげでユングの分析心理学でいう夢分析のようなことを友人にしてあげることも出来るようになりました。
ユングの分析心理学というのは人間の無意識を扱っている学問で、僕はこれを使って自閉症の人の人格構造を説明しています。
これは仮説の域を出ていませんが(というか科学では意識というものさえ正確に定義されていないし、できない。何故なら言葉で言い表されることのない無意識を客観的に観測することは現段階で不可能だから。)、自閉症の人の傾向として意識よりも無意識に動かされる傾向があると思います。
これは自分自身の行動においてもそうですが、他人とのコミュニケーションにおいても相手の意識的な語りかけよりも無意識を読み取ることに長けている場合があります。無意識を読み取るというのはつまり、言語情報よりも非言語情報を相手の表情やしぐさ、言葉の表すコンセプトなどからパターン認識することです。
症例として観察されるものの多くに、「言外にほのめかすような感情が読み取れない」というようなことがありますが、これはちゃんとアイコンタクトをしながら話せなくなってしまったような場合のことでしょう。以前は僕も他人の顔を見ながら話すのが苦手だったのですが、それは相手の敵意やネガティブな感情、その他見たくないものを見てしまい、相手の発する言葉との矛盾を感じて余計混乱してしまうからでした。でもそれに気付いてからは場面ごとに言語情報と非言語情報の受け取りの選択が可能になり、上手くコントロール出来るようになりました。
僕はたまたま卒業した幼稚園、小学校、中学校が自閉症児(カナータイプ)との混合教育を行っている珍しい学校だったので、何人もの自閉症児をクラスメートに持って育ってきたのですが、彼らに対してもやはり僕は同じ自閉圏として共通性を感じています。
下手な文章で(英語しかないのですが)申し訳ないのですが、以下のリンクに少し説明書きがあります。
http://submariner-spirit.cocolog-nifty.com/blog/files/Bell_curve_rt.pdf
詳しい説明は省きますが、アナログ=無意識を感じ取る力で、デジタル=論理的思考を行う意識、です。
本来人間というのは自然界の生き物の一つなので、当然脳の特性にも上図のようにバラツキがあると考えられます。自閉症と定型者の関係について取られたデータはまだないですが、知能指数(IQ)も同じような分布特性を持ってばらつくので、それに準ずるとも考えられます。
もしこれに同意していただけるならssさんがアスペルガー症候群というのはいいかげんなもの、と表現されるのはご尤もで、診断基準の行っている役割というのはこの分布曲線状の任意の箇所に線を引くということだからです。DSMなどの診断基準が改定される度にこの線は移動しますし、医師の主観によっても左右されます。また時代や文化的背景の影響も受けるでしょう。つまりボーダーにいる人達が障害とされるかそうでないとされるかは脳の機能的、生理学的要因によるものではなく、人間がそう決めるか決めないかです。
では何故人間はそのように診断基準で分断されなければならなくなってしまったかというと、それは人間の作り出すシステム(教育、医療、経済、地域、社会、国家、科学、言語、文明など全てのもの)が全て均一化された対象を好んで扱うという傾向にあるからです。それらのシステムは例外的な少数派を排除する傾向があります。というのは人間の作り出す物は全て論理によって組み立てられた科学から生まれてくるので、自ずとデジタルなシステムになるのです。アナログ信号をデジタル信号に変換しなければ扱えないのです。
これをどう捉えるかはssさんの判断次第ですが、ssさんの感じている生きづらさのようなものは、まさにアスペルガーという診断基準が生まれるに至った経緯だと僕は思いますよ。
長くなりましたがご参考までにお考えください。
Ryu
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