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▼らっこらっこさん:
こんにちは。返信ありがとうございます。
集団の中で浮くことについて、別にこまったさんと言って自分を否定する必要はないですよ。世の中には集団から浮くことを職業としている人もいるわけで、そういう人も社会には必要なんです。芸術家、芸能人、政治家や科学者などで目立っている人は、働きだしてからいきなり目立つようになるのではなく子供の頃から少し変わっているものです。
僕も今まで自分のことを変わっていると思って生きてきましたが、それを否定的に考えたことはなく、むしろその違いを生かすように生きてきました。
人とは違う感性を持っているということは貴重な存在なのです。でもそれを上手く活かせるようにするためには、普通の人がどういう感性を持っているのかを研究し、自分と普通の人のどこが同じでどこが違った感性なのかを認識する必要があります。僕はそのことをずーっと考えるようにしてきて、最近やっとその違いを正確に把握することが出来るようになり楽になりました。
多数派に属する人は同じような感性の人に囲まれているから他人との違いをそんなに考えなくても済んでしまい、考えようとする人もあまりいないのですが、少数派に属する自閉圏の人たちはそれを考えざるを得ない環境に生まれながらにしていることが多いので、その貴重な感性によって才能を開花できる可能性が高いのです。そのためには大変な苦労が必要ですけどね。
それを他の人がうらやましいと思うか妬ましいと思うかは、それこそそれを見る人の感性や精神的成熟度によります。精神的成熟度の低い人は何でも自分の持っていないものを欲しがって妬ましいと思い、手に入らない場合は軽蔑しようとします。
逆に精神的成熟度の高い人は、相手の中に自分の持っていないものを見つけるとそれを引き出して活かそうとします。気をつけて欲しいのは、僕は精神的成熟度についても高いことがいいとか低いことが悪いとか言っているわけではありません。ただ高い人は他人に与えられるものが多いし、逆に低い人は周りから奪うものが多いです。それを社会通念に当てはめると、良いとか悪いとかの価値判断が付くというだけです。
日本ではあまり自閉症やアスペルガーのことをポジティブに取り上げる例が少ないのでどうしてもネガティブな印象がつきまといますが、みんなが知らないだけでポジティブな例も探せばあります。
一番分かりやすいのは、アカデミー賞作品のグッドウィル・ハンティングという映画です。
マット・デイモンが演じる主人公のウィルが、ロビン・ウイリアムス演じるカウンセラーのマクガイアに出会って心を開いていくというストーリーです。
この主役のウィルが、公言されてはいませんがアスペルガー症候群という設定になっています。冒頭の本を読むシーンからディスレクシアの視覚的描写が試みられていますし、バーで口論になった友達に割って入って本のページを丸暗記して読み上げる写真記憶を見せつけます。裁判所でも法律を熟知した裁判官や弁護士も舌を巻くほどの法律の知識を披露し抵抗しますが、さすがに押さえつけられます。就職の面接ではNSA(国家安全保障局)の面接官に対して戦争することのバカバカしさをまるで風が吹けば桶屋が儲かるストーリーのように説明して見せます。
その代わり数学的な才能はずば抜けていて、並の秀才である大学教授は足下にも及ばないのです。これらのことは全て非論理的な思考であるアナログ思考によってもたらされます。言葉によって知識を吸収し勉強している大学教授や弁護士、裁判官などのデジタル思考の人達では歯が立たない分野です。
ストーリーでは彼が幼少期に虐待を受けたという設定になっていますが、それも理解されなかったということが一因にあるのではないかと思います。僕の家庭でも同じようなことがあって、それに思い悩んでカウンセリングに通っていたこともありました。僕はその時のカウンセラーにこの映画を紹介されて、君と同じだねと言われて見てみてびっくりしました。もちろん僕は数学的な才能はそれほど無いし、映画のようにあんなにかっこよく振る舞えないけど、似たような生き方をしてきたからです。例えば本を読まなくても色々なことが理解できたので学校へ行く必要がなかったところとか、色々あります。
日本語訳は訳文が普通の人っぽく訳されてしまっているので気付きにくいですが、英語の台詞をそのまま聞くと言葉遣いや話し方がアスペの人独特のしゃべり方を真似ています。英語が聞けるようでしたら是非英語で見てみることをお勧めします。
この映画を見た人達がどのような印象を受けたかは分かりませんが、主人公のウィルに対してはポジティブな感情移入ができた人が多いのではないでしょうか。
そういう意味でも、アスペでも充分うらやましがられたりすることはあると思いますよ。要は自分を信じて能力をいかに上手く使うかです。自分はダメだダメだと思っているうちは何をやっても上手くはいかないはずです。もしそう思ってしまう場合はAC的な精神状態にあり自己否定感が強いのかもしれませんので、映画のようにセラピーを受けるのがいいと思います。
らっこらっこさんも自分に自信を持ってがんばってくださいね。
Ryu
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