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始めまして!保育の仕事をしている者です。
数年前に出会ったひとりのこどもとの関わりで、保育者としての余計な見栄やプライドを全部捨て去って、新しい歩みをはじめることができました。
知的な面での発達に遅れは全くなく、言語も特に問題がない、視線が合わないわけでもなく、ちゃんと会話が成立する・・。
なのに、なぜか集団の中に入ろうとしない。一方的にファンタジーの世界で一人でなりきって過ごしている。前にも書きこませていただきましたが、家庭では怖いけれど大好きな父親に厳しく怒られて言うことを聞かせられているということでした。だまっていれば自分の好き勝手に遊んでいる。少しでもかたづけや身の回りの始末あるいはクラスの活動などを誘いかけようものなら「いやだ。あっちにいけー。」と怒鳴り、つばを吐きかけ、殴りつけてくる彼。
arcleさんのお母さんのようにどう対応すればいいかわからず悩みを抱え込んでしまいました。年長児の時、集団の中に入ろうとしないことを心配した家庭が専門機関に相談。孤立型のASに限りなく近い行動様式だが、確定はできないという診断でした。それから、かたっぱしから資料を集め、事例を学び、(この館ともその頃出会いました)ASをはじめとする高機能広汎性発達障碍についての理解を深めることができました。理論だけの学びでは得られない、実体験が伴う学びですから、手探りでしんどいものではありましたが、それ以上に大きな収穫が得られました。その後の試行錯誤の取り組み(担任以外に彼をサポートする保育者を配置する)の中で、彼自身が自分がどうして友達とうまくやっていけないんだろうと悩んでいることを吐露できるような関係が作れ、私たち保育者とのつながり感に支えられて、他の子どもとも関われるようになってきたことをとおして、ご家庭から信頼されるようになり、家庭での接し方が随分変化してきました。
一番大切なのはこれは担任ひとりだけでは対応できないことであると、学年全体に投げかけて、学校全体で支援体制を整えていくということが急務だと思います。
担任ひとりの頑張りではどうすることもできないことです。
彼は今小学生です。やはり、担任ひとりでは対応がむずかしく、生活支援のサポーターが彼の生活面・友達との関わりを援助している体制をとっています。お母さんは卒園後もなにかとお子さんの学校での悩みを相談してきます。(学担との関係がむずかしいようです)
> これに限らず、今目の前・みんなの前でしたことに対しても「やってません」・「僕じゃありません」と平気で嘘をつくなど、はっきり言って授業が成立しているとは思えない状況です。
具体的には、まず「だめ」とも「いい」とも言わないことからはじめます。学校の先生ってここがとてもむずかしいみたいですね。指導者として子どもの上にたっていなくちゃいけないので、なんでも許可か禁止かのどちらかしかなく、すぐに「いけません」という言葉(正論)による指導が入る・・・これがASをはじめとする自己肯定力の低いお子さんが自暴自棄になっている場合にカチッと「怒り」のスイッチに直結してしまうようです。(私自身もずいぶん失敗して、彼の地雷をふみっぱなしでした)
どうしたいのか?
あるいはどうしたかったのか?
彼なりの心の理論を尊重して聞くことに徹する・・・。自分を否定されないことがわかると、少しずつ心を開いてきます。なにがいいことで、なにが悪いことかを彼はきちんとわかっています。そして悪いことだとわかっているのに、それにブレーキがかけられなくて困っているのです。その子自身が考えて、自身の言葉でどうすればいいかを表明する時間と場所を確保してあげてください。
> 「周りの環境を変えるのが大事」と言うことは何となく分かったのですが、この場合はどうすべきなのでしょうか?
> もしよければ何かアドバイスを頂けないでしょうか?心配で仕方がありません。
この館のトップにあるASの基礎知識は、とても参考になりました。特に辻井正次先生のーー高機能広汎性発達障碍への心理療法的接近からーーという文章は実際に即していて勉強になりました。どうぞ、読んでみてください。お母さんのご健康が守られますように。
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