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色々な検査がありますが、臨床現場で働いてきた者としては画像診断というのはあくまでも診断の一手段であって、やはり大切なのは患者さん本人の症状をしっかり診ることなのかな、と思っています。
というのは画像診断の所見と臨床像が必ずしも一致しないケースがたくさんあり、失語症などの場合例え同じ場所が損傷されていても失語症のタイプが異なっているケースというのも決して珍しくないのです(もちろん理論上のタイプ分けはありますが)。
頭部外傷などのケースでもMRIやSPECTなどではそんなにひどい損傷がないケースでも重度のコミュニケーション障害が出現していることもありますし、その逆の事もありました。
これは染色体検査でも同様のことがあって、多発奇形でも染色体の検査では全く異常が出ない、というケースもあるのです。
以前[#5068]にも書きましたが、脳というのは非常に複雑なネットワークから成り立っている物なので必ずしも実験データのような結果が出る訳ではないという気持ちでいるのが一番かな、と感じています(もちろん研究を知るのも大切ですが)。
大学時代臨床心理の先生から薦められた本があります。当時は難しくてよく分からなかったのですが、臨床現場に出て読んでみて改めて気付かされたこともありました。
臨床の知とは何か 中村雄二郎著 岩波新書 1992
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