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マスコミの報道では、取材の対象となった人物については、多くの
場合、その人の職業の種類も一緒に登場しますよね。氏名その他の
情報と一緒に、標準的なフォーマットの構成部分の一部みたいに。
僕が思うに、それはおそらく、職業とはその人の社会的に重要な属性
であると一般的に認識されているからでしょう。
ところが、僕の場合、自分自身のアイデンティティーを構成する要素
に、職業は含まれていないんです。だから、「自分の感覚は世の中一般
と異なる面があるなあ」と意識するわけです。
ちなみに、自分のアイデンティティーの根拠は別のところに求めて
います。
1週間のうち5日間、フルタイムで勤務しているのだから、仕事を
している時間は長いですし、現在やっている仕事には、誇りを持って
いたりします。
それでも、自分の精神世界においては、あまり意味を持っていないの
です。確かに仕事は現実の生活に大きな影響を与えています。それは
否定しません。でも、自分という人間の自己定義には使っていません。
その理由については、アスペ的傾向や聴覚障害の影響による、自己
評価の低さや、集団の中での疎外感が作用していると考えています。
職場とは集団であり、必然的に人間関係やコミュニケーションが発生
する場なのですよね……。
やはり、障害を持っているという現実には圧倒的なものがあるなあ、
と思います。
上に書いたのは僕自身の事例ですが、アスペでも聴覚障害でも、本や
ネットの掲示板を読んでいると、自己評価の低さや疎外感に苦しむ当事者
の事例をよく見かけます。
アスペの方にとっても聴覚障害者の方にとっても、誇りを持って生きて
いける社会になってほしいなあと思います。
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