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▼サンタロウさん:
はじめまして、秋桜と言います。ASでかつ病気休業中の言語聴覚士(ST)です。
脳というのは非常に複雑なネットワークで構成されており、大まかな配置図はあってもそれが全員に必ずしも当てはまると言うものでもないのです。
例えばサンタロウさんは「左脳に言語野がある」と書かれていますが、実はこれも個人差があります。これは交叉性失語(右利きの人が右脳の損傷によって発症する失語症)というまれなケースからもうかがい知ることができます。
右利きの人の90〜95%は左脳に言語野がありますが、約5%は右脳、残りの人は両方の脳にあると言われています。左利きの人になると約65%の人が左脳にありますが、残りの人は右脳もしくは両方の脳に言語野が存在します。
言語の聞き取りに関しては言語野が左脳にある場合は左側頭葉にその中枢(ウェルニッケ野と呼ばれています)があると言われていますが、その情報がさらに言語の連合野や前頭連合野へ移っていくため、どのルートに問題があるかでも対応が変わってきます。
さらにコミュニケーションに問題がある場合、距離感をつかむには右頭頂葉(右利きの人の場合)やその情報を左脳とやり取りする脳梁という場所の機能も関わってきます。
つまり一番大切なのは「左脳も右脳もバランスよく使う」ということですし、その使い方は人によって異なりますから、「これさえやればいい」という方法は存在しないと考えていただいた方が妥当だということです。
サンタロウさんは「複雑系」ということばをご存知ですか?最近脳研究では2つまでの脳細胞のネットワークは分かってきています。しかし3つ以上になると研究者でも予想ができない動きをするのだそうです。たった3つでも分からないのですから、実際の脳の中の動きというのは本当に謎に満ちたものなのです。
お子さんに関しては実際にお会いしたことがないので何とも言えませんが、お子さんが処理しやすい形から(例えば視覚的な情報)根気強くアプローチしていくことが必要だと思います。
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