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▼ゆきもようさん:
こんにちは、ゆきもようさん、お久しぶりです。現在プー太郎の秋桜です。
>春になってしまって、私のハンドルネームに違和感を感じます。
もうすっかり雪はなくなりましたよね。でも秋桜もかなり季節はずれな気が…(桜という字は入っていますが)。
>療育のお仕事をされている(?)秋桜さんに質問があります。
>ASの子供は、心の倫理の獲得がゆっくりで、周りの子供と波長が合わず、
>なかまはずれにされたり、浮いていたりしますよね。
心の理論のことでしょうか。これはイギリスの研究者バロン・コーエンやウタ・フリスが最初に言い出したものです。
定型発達のお子さんは5〜6歳で他者からの視点というものを想像することができますが、自閉症のお子さんはこの能力を獲得するのが困難で、時間がかかるというものですよね。
>周りの子供の行動に関心が持てるようになり、人を観察し人の行動について
>考えたり、知るようになるのには時間が必要なことはわかっているんですが、
>いつか はっと気付くようになる訓練になるような、教材とか、指導方法、
>参考文献があれば、教えていただけないでしょうか?
私が指導でよくやっていたのは新人や実習生など普段関っていない人を積極的に入れてみんなで自己紹介をしたり課題やゲームを一緒にやったりしていました。自己紹介の時は自分の何を知ってもらうことが最低限必要なのかを一緒に考えるのですが、なかなかこれが大変で、自分の好きなことだけをしゃべってしまって肝心の名前を言わない子、全部お母さんや私にやらせようとする子、項目を挙げても何のことか意味が分からず的外れな答えをしてしまう子とその度に「こういうことだよ」と確認して紙に書きながら課題を進めていました。
ゲームについては私はよくトランプやかるたを使って遊ぶことが多かったです。神経衰弱みたいな単純なものでも自閉症やアスペルガーの子って相手が何しているのかをあまり見ていないからその都度「ここには何があったの?」と確認しないと全然覚えていないことが多くて(視空間認知が悪いケースもあるのですが)、私が覚えていると口惜しそうな顔をよくされていました(「だったらよく見てよー!」という感じなのですが)。紙に勝ち方を書いて実際に確認しながらやったりもしましたが、毎回コントのように大騒ぎをしながら課題をしていました。
あとエスコアールという会社からソーシャル・スキル・トレーニング絵カードという教材があってこちらが出始めたばかりの頃に職場で購入してもらって使っていました。
教材案内
http://www.escor.co.jp/sst.html
でも大切なのは教材の学習と併せて実際に人と関わることなのだと思います。私自身、自分が周りを全然見ていなかった、というのに気付いたのは小学校4年生の時初めて保護者なしで姉とは違うチームで参加したキャンプで、ある付き添いの大人の人から「まあ、何て自分勝手な子!」といったことを言われてハッとしたことがきっかけでした。でもそこで気付いたからといって自然な立ち居振る舞いなどができるようになったのは[#5685]にも書いたように就職して大分鍛えられてからです。
あとは自分を冷静に見つめる能力を養うことが大切なのだと思います。[#2778]にも書いたように私は本ばかり読んでいたような子どもで、小説から人間関係を学んだ所があります。幸い私は大学時代恩師の計らいで教育分析(専門家になるためのカウンセリング)も受けることができたので、自分の考え方の癖などを意識化する上で療育と共に今の自分に役立っていると思います。
あまり答えになっていないかもしれませんが、参考になれば嬉しいです。
それではまた。
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