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▼秋桜さん:
>はじめまして。秋桜と言います。他のレスにも書いたのですが、
>発達障害児の訓練専門の医療機関で働いています。私自身もアスペです。
>現在は体を壊して自宅療養をしています。
お初にお目にかかる。確か管理人さんの奥さんだったな。
将来に備えて、ゆっくりご休養されんことを。
まずは結論部分からコメントしていこう。
>POLINECIAさんがおっしゃっているように、中には営利をむさぼっている人も確かにいます。
>でもこういうことは他の病気などでもありますよね(例えば「ガンに〜が効く!」など)。
もちろん、他の障害,慢性疾患を視野に入れながら話をしているつもりだ。
それらと比較対象しながら、
ようやく公的支援の対象になった発達障害の支援全体の流れを考えている。
>大多数の発達障害の専門家は身を削ってがんばっていますよ。
>とにかく安心して診断・訓練できる基盤すらない現状を何とかする必要があると思います。
大多数の専門家が身を削ってがんばっているということについても否定しない。
特に予防教育中心の支援というのはひどく手間がかかる。
俺自身はアマチュアだが、自宅で夜を徹しての作業を行うこともしばしばだ。
ただし、こう自問することがある。本当に訓練中心の支援でいいのだろうか、と。
今、俺が追跡している問題は、
なぜ日本の発達障害支援の中核が予防教育中心になっていて、
予防教育をいかに行うかばかりに議論が集中しているのかという点だ。
もちろん、国連あたりの議論でも教育,医療は障害者支援の重要な項目にはなっているが、
それだけが支援の全てという訳ではない。
現在、国連の国際障害者人権条約などの草案も検討中だが、
教育,治療という支援により高い特別な地位が与えられているということもない。
(中には障害者に対するの人権侵害になると考えられている教育,治療もある。
言語,聴覚訓練なども時々槍玉に挙げられる場合がある)
にも関わらず、専門家は専門家サイドは予防教育の必要性を強調し、
職業的支援者や家族も予防教育に集中して要望を出していくという事態が続いている。
行われうる支援を全て網羅した上で、
やはり教育,医療に関する支援が最も必要だと考えているなら話は別だ。
しかし、日本国内の学会,シンポジウムなどで予防教育に関する海外の情報だけが紹介され、
それ以外の支援に関する情報があまり紹介されていなかったとすればどうか?
かなり視野狭窄に陥った議論がここに展開されることになる。
ついでに言えばそれが予防教育を希望する障害者家族の殺到という事態にもつながる。
秋桜さんの職場で起こっている事態だな。
そういう訳で、予防教育を担っている職業的支援者が頑張っているという点は認める。
しかし、力の入れどころが本当にそこなのかという点については議論の余地があると思う。
>2つ目は私が勤めているような専門病院に比べて職員に入ってくる情報量が圧倒的に違ってきま
>す。大抵の自治体は一人職場が多いですし、スパーバイズしてもらえる環境が整っていないのが
>現状です。中にはがんばっている方もいますが、相当本人が努力する必要があります。その結果、
>指導の質に差が出てきているのが現状です。
(中略)
>特にアスペルガーは対応に慣れていないと難しく、自治体でもどうしたらいいか分からず、
>混乱しています。そのため最近は丸投げ状態で紹介されてくることが増えてきました。他
>のスレッドでも書いていますが、学校現場も適切な対応ができていない(できないというの
>が正確でしょう)ため、困っている人がたくさんいます。
>就学後こそ指導が必要なのに、その時期に医療的なケアが難しいというのは問題だとは
>思いませんか?
これは俺から出せるヒントだ。
高い職能の必要な支援というのは、素人が手を出せるものではなくなってしまうから、
必然的に支援において専門家,専門機関への依存度が高くなる。
そしてきりがないくらい、次から次へ高い専門性,最新の療法を求められていくだろう。
特に障害児教育,医療支援ではこの傾向は顕著だ。
そんな訳でこの方向性も少し軌道修正が必要になると思う。
予防教育関係者が訓練による社会順化の限界を認めて力の入れどころを変えていくとか、
教育支援の内容を職能を要するものではなく誰でもできるものに変えていくと言った具合に。
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