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▼ジョンさん:
>ジョンです。お久しぶりです。
少し感情が昂ぶっておられるようにお見受けしたが、如何?
調子が悪いようであれば、ゆっくりと投稿されるように。
>私は、犯罪防止と支援の両方があってもいいと思っています。
まずは原則論から述べておこう。
以下は平成16年に改正された障害者基本法の条文だ。
障害関連の支援法案を考える時に参考になる。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kihonhou/kaisei.html
障害者基本法は様々な検討がなされた結果、
かなり障害者の人権保障がしっかりした法律になりつつある。
(まだ、不十分な点もあるだろうが)
この法律の第3条の理念から考えれば、
特定の障害者を犯罪予備軍視して
管理,監視を行うことは重大な人権侵害に当たる。
(障害を理由にした差別は許されていない)
発達障害者を対象にした法律ではなく拘束力はないが、
いちおう踏まえておいた方がいいだろう。
多くの精神障害者,知的障害者が「治安維持」のために、
監視,拘束の対象になっていた歴史がこの条文には反映されている。
(参考文献)
寺本晃久「能力と危害」『障害学の主張』(2002年明石書店)
発達障害者支援法案にそう明記されてはいる訳ではないが
仮にそういう目的が含まれているとすれば、
間違いなく精神病者監護法(1900年施行)や
精神衛生法(1965年施行)の理念に逆戻りしている。
発達障害関係者の人権感覚,時代感覚が疑われかねないので、
さすがに俺は「犯罪防止があってもいい」とは発言することができない。
>われわれにとっては、「発達障害の専門医を1000人に増やす」と
>言っていましたし、
どういう目的で専門医を増やすのかも念のために探っておく必要があると思う。
当事者のためなのか?治安維持のためなのか?
例えば、1965年の精神衛生法では
精神病者を強制的に精神病院に収容することが可能になったが、
その時も精神病院が増加していった。
昔あったことが現在に繰返されるとは思わないが、
本当に「われわれのため」になっているかどうかは保留を要する。
>法律には「発達障害者の就労の支援」も盛り込まれて
>いるからメリットがあると思っています。
これは評価して大丈夫だろう。
既に障害福祉サービスの対象になっている障害者たちも、
就労には苦戦しているのが現状だが、
ないよりはあった方がいいと言える。
あとはその就労支援をどうするのかが問題なのだが。
今のところ、発達障害者の就労支援の方法は確立されていないし、
発達障害にアンテナを張っている障害者就労支援関係者も多くはない。
>甘く見て、2割対8割、厳しく見て、4割対6割で、メリットの方が
>大きいと思っています。どうでしょうか。
俺はそもそも障害者という集団の幸福をひとまとまりには考えない主義なのだが、
話を合わせるために、一部ジョンさんの規準を採用して評価をしておこう。
専門家,障害者家族にとっては3割対7割でメリットがあり、
発達障害者にとっては5割対5割で差し引きゼロになると思う。
発達障害者にとってのメリットの評価が少し厳しくなっているのは、
発達障害者の権利に対する規定が不十分と考えているからだ。
これは将来的に見なおしていけばいいだけのことなのだが。
少しだけ法律関係の仕事に関わっているため、
少しだけ法律にはうるさい。ご寛恕いただきたい。
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