|
▼aikidonotatujin→tatujinさん:
> アスペルガー症候群というと、人々というイメージがあり、DSM−IVを基準にしてみると、いたるところにそれらしき人はいる。医療機関でアスペルガー症候群と判定されるのは、正しくはアスペルガー障害というべきなのでしょうか。
> 症候群というと「そういう人々」、「障害」は社会生活において不適応がある場合を言うと思います。人口の10%ちかく存在すると言うことは、やはりアスペルガー症候群は人々という意味で使い、アスペルガー障害は社会適応に障害がある場合に名付けるのが望ましいと思います。
> ところで「アスペルガー障害」という呼び名は存在するのでしょうか。
ジョンです。
アスペルガー症候群はもともと、自閉症の研究の中から分類された「症候群」です。「症候群」とは、「syndrome」で諸々の病という意味です。例えば、「かぜ」ですが、1つのウイルスではなく、様々なウイルスによって引き起こされます。よって、正しくは、「かぜ症候群」なのですが、そう呼ぶ人はいません。
では、なぜ国際疾病分類に「アスペルガー症候群」が掲載されているかというと、自閉症の一種ということで、掲載されているからです。おそらく、昔は、自閉症は病気だと考えられていたからではないでしょうか。自閉症は病気ではなく、脳の器質的問題だと提唱したショップラーの説は1960年代に提出されていますが、世の中からは認められませんでした。その辺の説明は、自閉症カンファレンスでゲーリー・メジボフが詳しく説明しています。
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Yurinoki/9387/
↓
自閉症カンファレンス講演記録
「アスペルガー症候群」の提唱者であるアスペルガー(1944年)自身も「精神病の一種」と解釈しています。ところが、イギリスのローナ・ウイング女史がアスペルガーの論文を掘り起こし、実は、アスペルガー症候群は自閉症スペクトルの一種であると報告しました。要するに、自閉症は、IQの低下を伴うカナータイプの自閉症から、IQの低下を伴わないアスペルガータイプまで、連続している、という考え方です。これは、さらに範囲を広げれば、健常者の方でも、わずかに脳の器質的障害があれば、アスペルガータイプに近づくわけです。この、健常者で脳にわずか障害のある方から、カナータイプの脳に器質的障害のある人たちまでを総称して、アスペルガー障害と呼びます。障害は「disorder」です。
障害とは、視覚、聴覚、四肢など、器質的ハンディキャップを持つ方たちの総称ですから、脳に器質的障害があれば、障害と言います。病気ではありません。難しいのは、健常者とアスペルガー障害者の線引き、アスペルガー障害者とアスペルガー症候群の線引きです。既に説明しましたように、これらは、症状が連続して重くなりますので、明確な、線引きの基準はありません。専ら医師の判断によるものです。そのときに、診断の基準として、使われるのが、ギルバーグの診断基準であり、DSM−IVなのです。アスペルガー障害者の中でも、症状によって、アスペルガー症候群と診断される方たちがおられる、ということです。
以上、拙速にまとめましたが、急いだ関係上、失礼な表現があれば、訂正してお詫び申し上げます。
|
|