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小梅さんへ
こんにちは。
お返事をするのは初めてかと思います。Oliviaです。
私自身は、幸い“苛め”という程の被害は被ったことはありません。最も、私が鈍感で気付いていないだけで、実際は苛めの様なものが有ったらしいことを周囲の人から知らされたことはありましたが。
多分余り他人に興味が無かったのだと思います。勿論今迄で、良い友人は少数ながら居ます。その友人たちは皆素敵で、仲良くしたいと思うけれど、その他の人には興味がありません。
誰が私を嫌おうが世界を敵に回そうが私の知ったことではないのです。そんなことよりずっと素敵なものはこの世にあると思うのです。私にとっては例えば、書物だったり、どっしりとしたブラックコーヒーだったり、古い着物だったり、好みの音楽だったりします。
さて、私は苛めとは余り関係のない人生を二十年強生きてきたわけですが、その中で一番“苛め”という実態に近しく触れる出来事がありました。
来年三十路の私の恋人が中学生の頃苛めを受けていました。彼に逢ったのは二年と少し前なのですが、彼はその間にぽつぽつと苛めに逢っていた頃のことを話しました。その中には私が小説や漫画の世界だけだと思っていたような酷い事もありました。未だにフラッシュバックに苦しむ事もあると言います。
彼は高校には行っていません。大検を取って大学に進学しました。
彼は穏やかで誰にでも優しく、明朗な性格の持ち主で一見苛めを受けた人には見えません。彼は言います。“不条理を受け入れる”のだと。
ところで、私が唯一聴く日本人歌手は椎名林檎さんで、彼女の“ありあまる富”という楽曲があります。
僕らが手にしている富は見えないよ
彼らは奪えないし壊すこともない
世界はただ妬むばっかり
もしも彼らが君の何かを盗んだとして
それはくだらないもものだよ
返して貰うまでもない筈
何故なら価値は生命(いのち)に従って付いてる
彼らが手にしている富は買えるんだ
僕らは数えないし失すこともない
世界はまだ不幸だってさ
もしも君が彼らの言葉に嘆いたとして
それはつまらないことだよ
なみだ流すまでもない筈
何故ならいつも言葉は嘘を孕んでいる
君の影が揺れている
今日限り逢える日時計
何時もの夏がすぐそこにある証
君の喜ぶものはありあまるほどにある
すべて君のもの
笑顔を見せて
もしも彼らが君の何かを盗んだとして
それはくだらないものだよ
返して貰うまでもない筈
何故なら価値は生命(いのち)に従って付いてる
ほらね君には富が溢れている
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