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とろさんへ
とろさんのテーマをお借りして、私の体験を書かせていただきます。
昨年、私のASの友人宅で窃盗事件がありました。
犯人は、タンスの引き出しの中から銀行の預金通帳を持ち出して、近所の銀行から4回に渡り多額の現金をカウンター越に行員から受け取っていました。
犯人は、友人の知人でした。
ASの友人は、警察に被害届を出したものの、銀行側からも犯人側からも巧みに説得され、被害届けを取り下げて、根拠の無い犯人からの返済の口約束を信じていました。
そこで私は警察に、被害者がアスペルがーであることを説明し、警察署長まで掛け合い、再度被害届を受理してもらい再捜査の末に、犯人は逮捕されてお金は犯人の身内から返済され、
身元確認もせずにうかつに何回も現金を手渡しした銀行側も謝罪してくれました(こちらも支店長がミスをもみ消そうとしたので本店の管理職まで掛け合いました)。
そのとき・・問題解決への壁は警察や世間側だけにあるのではないという難しさを体験しました。
まず、ASの友人は犯人の「きっと返すから信じてくれ」という嘘をかたくなに信じ、犯人を「気の毒なおいたちなんだ」と強固にかばい、被害届を再度提出することに抵抗した点。
調書作成の時、警察官の聞き方によっては返答が違って来て、誤解されやすい言葉を使用してしまうこと。長時間の細かい、時系列による質問に早くも疲労や退屈してしまい、集中力がなくなり、不真面目な態度に見られてしまう事。
警察官が調書に間違いが無いか「確認してください」と作成文を見せてくれたとき「漢字間違いや句読点の位置に注目してしまい、それらにこだわったあまり、内容確認がおろそかになった」こと。
一番、労力を使ったのは、警察官に「友人がアスペルガーだということ」を説明する場面でした。
友人は「一見、言動のどこも不自然さを感じさせなく、一見、理路整然と会話するし、マナーも良くてとても良識的な人」なので、友人の発言の「どこに問題が発生するか」友人ならではのアスペルガーの特性を知っている人でないと、到底理解できない・・・という点が、事件を誤解させていました。
担当警察官は「本で読んだアスペルガーのイメージと全然違うから、まさかこの人がアスペルガーとは思いもしなかった」と言っていました。
でも、その警察官の方は裁判にもかけつけてくれて末席から傍聴してくれて
「アスペルガーの人と初めて遭遇した訳ですが、実際には今までにも会っていたのかも知れない。
被害者なのになんだかつじつまの合わない事を言うなぁ・・とか。今までにも不可解な事はありましたからねぇ。
でも、犯罪を犯す人には嘘をつくことに罪悪感を持たない人が沢山居る。
それに対して、発達障害の人は、自分の発言が誤解を招く表現になっていることに自覚が無い人が居る。
取り調べの専門性をもっても、この違いはなかなか難しいですよ。でも、この機に、もっと勉強してみます」と、言ってださいました。
全てのアスペルガーの方に言いたいのですが、何か事件に巻き込まれたら、ご自分1人で説明しようと頑張らず、どうかご自分をよく理解してくれている人を呼ぶようになさって下さい。
ご家族でも、医師でも、福祉関係の人でも・・一緒に説明をされると、精神的苦痛も誤解も減少し、我が身を守れると思うのです。
>5月7日のNHKニュースウォッチ9で、発達障害(おそらくアスペルガー)の男性が盗撮の濡れ衣を着せられ、警察でも自白を強要させられたニュースが放送されていました。
>
>この男性は一審の裁判では有罪になりましたが、その後の二審では無罪判決が出されました。
>
>無罪にはなりましたが、この男性は就職活動を断念せざるを得なくなったそうです。
>
>社会の発達障害の理解があれば防げるかもしれなかった冤罪事件。
>下のニュースウォッチ9の公式サイトでこのニュースの動画が見られますので、
>皆さんもこの問題について考えてみてください。
>http://cgi2.nhk.or.jp/nw9/recommen2010/index.cgi
>(動画の掲載期間が限られていますので、閲覧はお早めにどうぞ)
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