電子書籍フォーマットEPUB3.0の動向とXML
XMLパブリッシング交流会@PAGE2011
アンテナハウス
村上 真雄
@MurakamiShinyu
自己紹介
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XML 自動組版ソフトを開発してます。
- Antenna House Formatter:
W3C 標準のスタイルシート言語 XSL と CSS をサポート
- Antenna House Formatter:
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W3C メンバーとして活動(アンテナハウスは W3C メンバーです)
- CSS3 Text 仕様と Writing Mode 仕様を、石井宏治(@kojiishi)+Elika Etemad (@fantasai) と共同で担当
- W3C HTML5 JP IG(HTML5やCSS3仕様について日本語で議論するML)共同議長
- W3C JLTF(日本語組版タスクフォース)との関わり
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EPUB の日本語組版対応への関わり
XML って何?
- XML = Extensible Markup Language
- マークアップ言語(テキストにタグを付ける方法)の標準
- ウェブの標準仕様を定めるW3Cで仕様策定
- いろいろな文書形式を定義することができる
- 応用として
- ウェブページ (X)HTML
- ベクターグラフィック SVG、数式 MathML
- オフィス文書フォーマット OOXML、ODF
- 電子書籍フォーマットいろいろ:
EPUB、XMDF、中間(交換)フォーマット…
- 自動組版処理が可能
- XML自動組版ソフトの利用: AH Formatter など
- DTPソフトのXML機能を利用: InDesign など
- 他形式への変換が容易
EPUB って何?
- IDPF という標準化団体が策定
- IDPF = International Digital Publishing Forum
- 世界の出版社やITC企業を中心に構成される
- ウェブ標準技術を応用した電子書籍フォーマット
- 文書内容は XHTML、レイアウトは CSS で指定
- 書籍の情報や目次データを合わせてZIP形式で圧縮
- 現行 EPUB2.0 は、XHTML1.1 と CSS2 を使う
- レイアウトは CSS2 なので、縦書きが出来ないなど、日本語組版で問題が…
- EPUB 仕様改訂 → 次期 EPUB 3.0 へ(2011年5月、仕様勧告予定)
EPUB EGLS(世界の言語に対応させようという作業グループ)
- JEPA(日本電子出版協会) EPUB 研究会(2009年11月発足)
- 技術主任:村田 真(@muratamakoto:標準化のエキスパート)
- 2010年4月、EPUB日本語組版要求仕様案を公開
- W3C JLTF 「日本語組版処理の要件」を参考としている
- IDPF の EPUB 改訂の課題リストに組み込まれる
- 2010年6月「EPUB仕様の日本語組版拡張を目指して」(村田+村上)
- IDPF EPUB 改訂作業グループのサブグループとして、EGLS グループ
- EGLS = Enhanced Global Language Support
- コーディネーター:村田真
- 日本、台湾、韓国、米国などのメンバー
- 2010年8月 札幌会議、10月 台北会議
IDPF (EPUB) と W3C (CSS) の連携
- 10年前から IE5.5 で縦書きが実装されていた。当時マイクロソフトは W3C に CSS の縦書き仕様などの提案をしていてドラフト仕様に。
- その仕様提案に関わっていたのが当時MS Wordの開発を担当していた石井宏治さん(そのあとMSを退社、独立)
- 縦書きを含む CSS3 Text 仕様は2003年にW3C勧告候補までなったが、それから仕様の見直しがされることになり標準化が遅れていた。
- CSS3 Text と Writing Mode 仕様の担当者 Elika と、ボランティアを申し出てくれた石井さんと共同作業(2010年9~)
- いろいろな専門家たちが EPUB EGLS と CSS3 仕様のために集結
- 公的な支援が決まる:
- 総務省 新ICT利活用サービス創出支援事業「EPUB 日本語拡張仕様策定」(イースト、アンテナハウス、JEPA が共同提案)
- 国際標準化戦略に関する検討チーム「次世代ブラウザのテキストレイアウトに関する検討会」(総務省)
EPUB3.0 はこうなる
- 最新の Web 標準技術を利用: (X)HTML5 と CSS2.1+CSS3(一部)
- CSS3 Writing Modes:縦書き、縦中横
- CSS3 Text:禁則、行揃え、約物の詰め、和欧文間アキ、圏点など
- ルビ(HTML5 ruby)
- 段組(CSS3 Multi-column)
- 外字は? まず Unicode です。次に IVS (Unicode 異体字セレクタ)、それ以外はフォント埋め込みなどで
- フォント埋込み(CSS3 Fonts)
- WOFF、OpenType、SVG Fonts
- unicode-range:外字対応
- SVG(ベクターグラフィック)、MathML(数式)
- マルチメディア(音声、動画)
- DAISY との連携:だれにでもアクセシブルな書籍・教科書へ
EPUB とともに、Web の組版品質も、これからよくなっていくはず
- 実装が進む WebKit(ブラウザ Safari や Chrome のレイアウトエンジン、iPhone/iPad の iBooks や Andoroid 端末でも使われる)
- ルビ、縦書き、圏点などすでに可能(WebKit Nightly Builds)
- CSS 仕様はさらに進化。今後の課題:
- CSS3 ルビ
- CSS3 Lists (Numbering)
- 行グリッド仕様
- 縦書き・横書き両対応のスタイル作成を容易にする論理方向仕様
- EPUB も今後さらに進化するでしょう(EPUB3.0 のその次へ)
- 日本語組版対応は始まったばかり
- CSS 仕様の進化と一緒にバージョンアップしていくでしょう
最新情報を知るには
- W3C CSS Current Work:
http://www.w3.org/Style/CSS/current-work- CSS3 Writing Modes / CSS3 Text / etc.
- IDPF EPUB Revision:
http://code.google.com/p/epub-revision/ - EPUB3 Drafts:
http://epub-revision.googlecode.com/svn/trunk/build/index.html - JEPA EPUBグループ: http://bizpal.jp/epub
- Twitter ハッシュタグ #epub_egls
最後に、ちょっと宣伝
- EPUB電子出版!
アンテナハウスのクラウド型汎用書籍編集・制作サービス - Jepasspo/FANTaStIKK (Twitter: @FANTaStIKK2010)
XMLを入力・作成/自動組版するツール(EPUB出力にも対応!)
(JAGAT XMLパブリッシング準研究会) - 「CSS組版ブログ」 by 村上 (Twitter: @MurakamiShinyu)
- アンテナハウスのブログ: http://blog.antenna.co.jp/ILSoft/