HTMLBookとCSS書籍組版~Web技術を活かし、紙と電子書籍を同時に
2014-04-22
村上 真雄 (@MurakamiShinyu )
アンテナハウス株式会社について
設立: 1984年8月
代表取締役: 小林 徳滋(Twitter: @TokKoba )
資本金: 4000万円
社員数: 50名(国内)
事業内容: データ有効活用のためのコンピュータソフトの企画・開発・販売
主要商品: PDF関連ソフト、XML組版関連ソフト、電子出版関連サービス
Antenna House Formatter について
ページ媒体(Paged Media)用に特化したXML/HTML組版エンジン、主にPDF・印刷物制作用途
W3C標準仕様 XSL-FO, CSS, SVG, MathMLなどに対応
AH Formatterの応用例
雑誌、書籍の組版
多言語を必要とするグローバル企業でのマニュアル制作
精細なベクタ画像を必要とする工業部品カタログ制作
議事録や会誌、帳票などの自動組版
Webとの連携によるPDF配信システム
詳しくは、「Antenna House Formatter V6.2 の紹介」
あるセミナーで見た「電子書籍2.0(はこうなるといいな) 」の図
この「電子書籍2.0」 を実現するためには…
ワンソース・マルチユースということ
ワンソース、そのためにHTMLBookが役に立つかも!
WebもEPUB電子書籍も(X)HTMLで作られる。
だから(X)HTMLソースをマスターデータにするという考え。
マルチユースとは?
それぞれの媒体(EPUB、Kindle、Web、PDF・紙の本)用に、スタイルシートの調整など
HTML+CSSで、PDF・紙の本を作る組版エンジン
Antenna House Formatter (アンテナハウス)
米オライリー社が採用
日本語組版対応(縦書き等) 、多言語組版(アラビア語、インド系言語、など)
XML自動組版(XSL-FO対応)での実績。米国国税庁(IRS)の組版システムへの採用など
Prince (YesLogic社)
米アシェット社(HBG)で採用
CSS仕様の生みの親であるHåkon Lie氏(Opera CTO)は、この開発元YesLogic社(オーストラリアの会社)の役員でもある。
など。それから…
HTML+CSSで組版されてる本の一例
『W3C技術ノート 日本語組版処理の要件』
W3C日本語組版タスクフォース 編
B5 / 408ページ
定価 5,040 円(本体+税)
ISBN978-4-501-55020-2 C3004
[2012年04月 刊行]
“まえがき”より引用:
「本書は,W3Cの技術ノートである“Requirements for Japanese Text Layout”(以下JLreqと略記する)…日本語書籍版である.…なお,本書自体も,Antenna House Formatterで組版を行い,PDF出力を版下として用いて製作した.」
米アシェット社の場合
少し前に目に付いた記事「デジタルが支えるアシェットの3Q決算」(EBook2.0 Magazine 2013-11-14) から引用:
「アシェット・ブック・グループ(HBG)は11月12日、米国の第3四半期の決算を発表したが、成年向け一般書のデジタル比率は昨年の20%から27%に上昇し、11%の売上増に寄与した。また英国事業では同じく前年同期の20%から一気に30%に達した。…
HBGは今年、191点の印刷本と73点のE-Bookを NY Timesベストセラーにランクインさせ、うち45点が第1位を獲得するなど、過去最高のヒットを記録した。」
そのベストセラー本の多くが、紙と電子同時制作で、紙の本もHTML+CSSで組版されているということ(この記事には書かれてないけれど)。
アシェット社のプレゼン資料より
参考:アンテナハウスの書籍制作システムCAS-UBの場合
電子書籍と紙の本の同時制作のしくみ:米オライリー社の場合
米オライリー社の制作システムでは、EPUBなど電子書籍の制作と同時にHTML+CSS(印刷用)の組版でPDFが作られてます。
組版エンジンとしてAntenna House Formatterが使われています。
米オライリー社から最近出る本の75%はこのシステムによりHTML+CSSで組版されてるとのこと
この制作システムの新しいバージョン Atlas で使われる HTMLBook 仕様が公開されてる
米オライリー社の制作システム Atlas
W3C Digital Publishing Activity
書籍組版のためのCSS3ページ仕様
CSS Paged Media Level 3 (CSS3 Page) ←これが基本
(@page {...}
でページレイアウトを定義)
CSS Generated Contents for Paged Media
(CSS3 GCPM、ページ媒体用生成内容。柱・脚注・相互参照など、書籍組版に必要な機能を定義。図版の様々なを配置Page Floatsも含まれていたが今後別モジュールに)
書籍組版のためのCSS標準化を進める動き
書籍組版のためのCSS3仕様は、未完成のドラフトの状態であるため、Prince やAntenna House Formatter はドラフト仕様+独自拡張で実装している。(残念ながら互換性に欠ける)
W3C CSSWGで書籍組版用CSS仕様(GCPM)のエディタであったホーコン・リー氏(CSS仕様の生みの親で、Opera CTO)が、WHATWGで標準化作業をすると発表 (2013年10月)。
WHATWG (Web Hypertext Application Technology Working Group)は、HTML5の標準化作業をW3Cとともに行っていることで有名。
W3C側もCSS GCPM仕様策定に新しい担当者:アシェット社のDave Cramer氏。
CSS行グリッド仕様の標準化もはじまる
アンテナハウス、W3Cに再加盟!
2年半W3C活動をお休みしていたのですが、このたび復帰。W3C仕様を利用するだけでなく標準化にもっと参加。
WebブラウザでCSS3ページ関連仕様が実装されると面白いことに
リフロー型の電子書籍・雑誌でもページのレイアウトがいろいろできるように
将来のEPUB仕様にも取り入れられるだろう
紙の本や雑誌(そのためのPDF)を作るのもWebブラウザを組版エンジンとして使うことが現実的に
Operaによる実験的実装
OperaはWebKitに実験的にCSSページフロートの機能など実装したが一般には公開されず
WebKitは、AppleのSafariブラウザのレンダリングエンジン。iBooksなどEPUBビューアもこれが使われてます。
Google ChromeやAndroidのブラウザも前はWebKitだったのだけど、2013年4月、GoogleはWebKitをもとに新しいレンダリングエンジンBlinkを開発開始。OperaもBlink陣営に加わることに。Operaが実装したCSSページの機能はなかなか日の目をみないことに
そのWebKit-based Opera (Linux用)をダウンロードして試すことができます:
http://www.wiumlie.no/2014/reader/
CSS Figures: responsive newsmag in 10 lines of CSS
http://people.opera.com/howcome/2013/10-figures/
HTMLBookで日本語書籍のサンプルを作ってみた